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第1章26話:母との会話
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「あなた、これからどうするのですか?」
母が聞いてきた。
ルミは答えた。
「それについてなんですが、配信を辞めようかと思っています」
「……」
「正直ここまで盛り上がるとは思っていませんでした。目立ちすぎて、大事になりそうな気がしますし、素性がバレないうちに引退してしまうのが良いと思うんです」
ルミがそう告げると、母は大きなため息をついた。
「はあぁ。あなたはほんとにクソボケですね」
え……クソボケ!?
「あなたは自分の目指した道を、途中で投げ出すのですか?」
「……!」
それはルミをハッとさせる言葉だった。
「一度やると決めたことを途中で投げ出すなど……私はあなたを、そんな半端者に育てた覚えはありません」
「お母さん……」
「いいですか。ダンジョン配信の日間ランキングにおいて、あなたはまだ70位かそこらですね。年間ランキングでは1000位以下です。確かに一躍人気になったのは事実でしょうが、まだこんなにも上がいるのです」
母は語りかけるように、続ける。
「自分より上がいるというのは、幸せなことですね。倒すべき、越えるべき好敵手が、あなたを高みへと導いてくれるでしょう。だから、ここで投げ出すなんてもったいないですよ」
母の言葉が胸にしみる。
ルミは自分の考えを改めた。
母は言った。
「まだ見ぬライバルたちに挑みなさい。そして1位を目指しなさい。いいですね?」
「……はい!」
ルミは力強く返事をする。
そうだ。
自分は何を考えていたんだ。
身バレが怖くて辞める?
日常生活に支障が出るからと、せっかく芽が出たのに引退する?
笑止だ。
(バレたらまずいなら、正体を隠しつつ、1位を目指せばいいだけじゃないですか……!)
配信のときは仮面をかぶり、日常では仮面を外して過ごす。
それを完璧にやれば、平穏を守りつつ配信者を続けられるだろう。
「やります! 私、一番になってみせます!」
ルミはやる気に燃えた。
「その意気です。頑張りなさい」
母との通話が終わる。
ルミは、背中を押してくれた母に感謝した。
母が聞いてきた。
ルミは答えた。
「それについてなんですが、配信を辞めようかと思っています」
「……」
「正直ここまで盛り上がるとは思っていませんでした。目立ちすぎて、大事になりそうな気がしますし、素性がバレないうちに引退してしまうのが良いと思うんです」
ルミがそう告げると、母は大きなため息をついた。
「はあぁ。あなたはほんとにクソボケですね」
え……クソボケ!?
「あなたは自分の目指した道を、途中で投げ出すのですか?」
「……!」
それはルミをハッとさせる言葉だった。
「一度やると決めたことを途中で投げ出すなど……私はあなたを、そんな半端者に育てた覚えはありません」
「お母さん……」
「いいですか。ダンジョン配信の日間ランキングにおいて、あなたはまだ70位かそこらですね。年間ランキングでは1000位以下です。確かに一躍人気になったのは事実でしょうが、まだこんなにも上がいるのです」
母は語りかけるように、続ける。
「自分より上がいるというのは、幸せなことですね。倒すべき、越えるべき好敵手が、あなたを高みへと導いてくれるでしょう。だから、ここで投げ出すなんてもったいないですよ」
母の言葉が胸にしみる。
ルミは自分の考えを改めた。
母は言った。
「まだ見ぬライバルたちに挑みなさい。そして1位を目指しなさい。いいですね?」
「……はい!」
ルミは力強く返事をする。
そうだ。
自分は何を考えていたんだ。
身バレが怖くて辞める?
日常生活に支障が出るからと、せっかく芽が出たのに引退する?
笑止だ。
(バレたらまずいなら、正体を隠しつつ、1位を目指せばいいだけじゃないですか……!)
配信のときは仮面をかぶり、日常では仮面を外して過ごす。
それを完璧にやれば、平穏を守りつつ配信者を続けられるだろう。
「やります! 私、一番になってみせます!」
ルミはやる気に燃えた。
「その意気です。頑張りなさい」
母との通話が終わる。
ルミは、背中を押してくれた母に感謝した。
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