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第8章564話:王都の騒乱57
しおりを挟む<ルチル視点>
「くっ……」
アレックスの右腕から血がほとばしる。
切断された右腕が地面に転がっている。
ミジェラ女王が言った。
「畳み掛けるぞ!」
「はい!」
と私は返事をして、さらにアレックスに斬りかかろうとする。
しかし。
「―――――――――――!!」
私とミジェラ女王の追撃を封殺するかのように、アレックスが衝撃波を発動した。
私たちは大きく吹っ飛ばされ、後退させられる。
「許さん……」
とアレックスは怒りの言葉を漏らす。
「貴様たちは、必ず殺す……!」
そのときだった。
アレックスの転がった右腕が、どろりと溶ける。
直後、アレックスの右腕の切断面から、なんと新しい腕が生えた。
「!?」
切り落としたはずの腕が、元通りになっている。
私もミジェラ女王も、さすがに驚愕する。
「信じられん。なんという回復力だ……」
ただの回復魔法ではなく、上級魔法であろう。
今のアレックスは、回復という分野でも一級の魔法を扱えるということだ。
(これは普通に攻撃していては倒せないね。どうすればいいだろう?)
私は考える。
……1つ、案がひらめいた。
相手の回復や再生を妨害する、特殊効果を持った武器を造ることだ。
特にアレックスの回復魔法は、上級魔法である大回復。
だからアレックスの回復力を止めるには、「大回復を妨害できる武器」を作る必要がある。
(……ジルガーンの遺体を素材にすれば、可能だ)
さきほど倒した大魔将・ジルガーンの遺体はアイテムバッグに保管してある。
これを使って、回復妨害の武器を作ることができれば……
アレックスを倒せるかもしれない。
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