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第8章554話:王都の騒乱47
しおりを挟むアレックスは警戒の目で告げた。
「己の息子に刃を向けるのですか」
「黙れ。貴様など、もはや息子とは思わん」
「……そうですか」
とアレックスは嫌味な笑みを浮かべた。
「残念です。母上さえも、手にかけなければいけなくなるとは。ただ―――――」
ふいにアレックスが指をぱちんと打ち鳴らす。
直後。
彼の眼前の石畳に魔法陣が出現した。
召喚魔法陣だ。
(王霊召喚……!!)
と私は推定した。
歴代のクランネル王を霊体として召喚できる【王霊召喚】。
それによって新たに召喚されたのは、一人の女だ。
燃えるような黄金のロングヘア。
灼熱のような赤い瞳。
あれはおそらく歴代王族の中で『太陽姫』と呼ばれた女性君主だろう。
対人戦においてはめっぽう強かったとされている、双剣の使い手である。
「私がしたいのはルチルとの一騎打ちです。母上はしばらく、この王霊と遊んでいてください」
とアレックスは告げた。
ミジェラが言った。
「王霊召喚……なるほどな。今のお前は、その技を使えるのか。だが―――――」
次の瞬間だった。
ミジェラ女王の姿が一瞬にしてかき消えたかと思うと――――
烈風のごとき速さで『太陽姫』に近づき、槍を振るい、その首を刎ね飛ばした。
「!!?」
私も、アレックスも、驚愕に目を見開く。
「舐めるなよ。過去の亡霊ごときに、私が止められるものか」
ミジェラ女王が鬼気をみなぎらせながら、そう告げた。
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