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第8章547話:王都の騒乱40

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平和の魔女――――ゾネット。

かつて宮廷魔術師の師長しちょうを務め、その後、国王に寵愛ちょうあいされ、王族入おうぞくいりを果たした女性。

魔法の天才である。

そんな女性が、アレックスの味方として召喚されたというのは……極めて脅威だ。

「最初に言っておくけど、ルチル・フォン・ミアストーンと戦うつもりはないわ」

「!?」

ゾネットの言葉に、私たちは困惑する。

「アレックスはルチルとの決闘をご所望しょもうよ。だから私の相手はルチルじゃない。ルチルはこの先にいきなさい。私は、他の4人と戦うことにするわ」

「仲間を残していけと言うんですの?」

「そうよ」

ゾネットの言葉に、私は思い悩む。

アレックスをさっさと止めなければいけないのは事実だ。

しかし仲間を置いていくのは不安である。

このゾネットという女は、間違いなく最強格の一人だからだ。

「行けよ」

とレオンが言った。

「1人抜けても4人いる。これだけいれば十分だぜ」

「ジルガーンとの戦いで、少し要領がわかりましたから……私も大丈夫です!」

とラクティアも告げた。

しかしフランカとエドゥアルトは心配げだ。

この二人は、レオンたちと違って、私の護衛である。

私はエドゥアルトたちを残していくのは不安だし、エドゥアルトたちもまた、私を一人で行かせたいとは思うまい。

だが……

(わがままを言っていられる状況じゃないもんね)

こうしているあいだにもアレックスによる破壊活動はかいかつどうは継続している。

ゾネットに足止めを食らうわけにはいかない。

「エドゥアルト、フランカ」

私は言った。

「レオン・ラクティアとともに、ゾネットを討ちなさい」

「「……」」

エドゥアルトとフランカが沈黙した。

ややあって、エドゥアルトが答える。

「はっ!」

そしてフランカも。

「承知しました!」

二人も、わがままは言えない状況だと理解しているのだろう。

彼らの返事に、私は微笑む。

そして一人で街路を走り始めた。

ゾネットの横を通り過ぎて、アレックスがいるであろう王都の中央広場へと向かっていく。
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