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第8章545話:王都の騒乱38
しおりを挟む王都の街路を駆け抜ける。
ジルガーンが召喚した闇兵士や魔獣の残党……および、アレックスが召喚した魔物が跋扈している。
そんな魔物たちと戦う兵士の姿。
主に戦闘の主役を担っているのは、王国の第一騎士団のようだ。
「第一騎士団が応戦しているようですわね」
と私はつぶやいた。
エドゥアルトが応じる。
「第一騎士団は、騎士の中でもあこがれの存在です。彼らが出動したなら、魔物の殲滅も時間の問題でしょう」
王都の守りの要である第一騎士団は、団員の全てが精鋭である。
ジルガーンやアレックスが召喚した魔物たちは強力だが、第一騎士団であれば掃討も可能だろう。
雑魚は第一騎士団に任せて、私たちはこのままアレックスのもとへ急ごう。
街路を走って移動する。
その際には、王都の壊滅ぶりが嫌でも目に入る。
砕けた石畳。
倒れた街路樹。
壊れた建物。
崩れ落ち、堆積した瓦礫と残骸。
ハリケーンと魔物たちが暴れまわった痕跡が、視界を流れていく。
レオンが、しかめ面を浮かべながらつぶやいた。
「本当にひどいありさまだな。アレックスとかいう野郎は、王子のくせにいったい何やってんだよ」
「……」
さすがに王族批判は良くない。
が……この状況だと仕方ない。
きっと全てが終わったあと、クランネル王家は民衆から激しく非難されるだろう。
王族への批判は許されるものではないが、国民の怒りが一定限度を越えると、その限りではなくなる。
(でも……アレックスにいったい何があったんだろう?)
改めて私は、アレックスの異変について思考をめぐらす。
王都を破壊しているのがアレックスだとしても、この事態を引き起こしたのはアレックス本人ではない。
必ず、裏で糸を引いている者がいるはずだ。
アレックスを倒したあと、その者についても調査しなければいけないだろう。
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