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第8章543話:王都の騒乱36

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<ルチル視点>

ジルガーンを倒した私たちは、王都へと戻ってきた。

ジルガーンをった後ではあるが、やはり、召喚された闇兵士やみへいしや魔獣たちは消えていない。

王都では兵士や騎士団が中心となって、ジルガーンが召喚した魔物たちと交戦している。

また、役人たちが王都市民の避難誘導をおこなっていた。

「国が大々的だいだいてきに動き始めたようですね」

とエドゥアルトが告げた。

おそらく女王陛下が本気になったのだろう。

だとしたら、じきに事態も沈静化ちんせいかするはずだ。

私は告げる。

「ジルガーンが召喚した魔物たちは、国に任せて大丈夫でしょう。あとはアレックスを止めれば――――――」

と、そこまで口にしたとき。

『ははははは!』

と高笑いが聞こえてきた。

アレックスの【浸透声しんとうせい】である。

アレックスは告げた。

『ルチル! 新しい敵を用意してやったぞ! 私が召喚した魔物が、これから王都を破壊する! 止めたければ、早く私のもとへ来るがいい!』

……新しい敵?

首をかしげていると、近くから男性の悲鳴があがった。

「ぐああああ!?」

視線をやると、こんぼうを持ったゴブリンが男性を殴り殺していた。

「きゃあああ!? ゴブリンよ!?」

市民たちがおびえ始める。

こんぼうを持ったゴブリンが続々と現れる。

兵士が疑問を呈した。

「な、なんで街中まちなかにゴブリンが!?」

「とにかく排除する!! ――――せェいッ!!」

と男性騎士が一気呵成いっきかせいに、ゴブリンに斬りかかる。

しかし。

ゴブリンは騎士の攻撃をこんぼうで受け止めた。

「!?」

さらに、なんとゴブリンが騎士を力で押し返した。

たたらを踏んだ騎士。

そんな騎士に対して。

「グガガッ!!」

ゴブリンがくるりと回転しながらこんぼうを振り回した。

騎士はなんとかバックステップをして回避する。

「こいつ、本当にゴブリンなのか!?」

通常のゴブリンを遥かに越えた動きに、その場にいた誰もが唖然あぜんとする。
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