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新しい武器
しおりを挟む『ジルガーンを召喚したのはイリスフォルテ。アレックスの暴走を画策したのもイリスフォルテよ』
「なっ―――――」
私は衝撃を受ける。
シエラ様の発言が本当ならば、王都で起こっている騒動の元凶は、イリスフォルテということになる。
『いくらなんでも、今回のイリスフォルテの介入は行き過ぎている。だからバランスを取るために、あたしも現世に介入することにしたわ』
なるほど……
しかし、僥倖だ。
精霊であるシエラ様が動いてくれるなら、きっとなんとかなる。
そんな確信が持てた。
『だから、あなたはあなたの成すべきことに集中なさい。王都のほうで暴れている魔物は、私がなんとかするわ』
「承知いたしました。よろしくお願いいたします」
シエラ様の気配が消えていく。
私は錬金術に集中する。
「がっ―――――!?」
そのときミジェラ女王の苦悶の声が聞こえてくる。
アレックスに蹴り飛ばされたミジェラ女王が、膝をつく。
「どうしたのですか母上? さっきまでの威勢が感じられないようですが」
とアレックスはせせら笑う。
ミジェラ女王が立ち上がりながら、アレックスを睨みつける。
「舐めるな。まだ勝負はついていない」
「くくく。もうフラフラではないですか。さっさとラクにしてさしあげますよ」
アレックスは言いながら、ミジェラ女王に高速で接近する。
ミジェラ女王は防御の構えを取るが、アレックスはお構いなしに攻撃を放つ。
「ぐっ!!」
アレックスの攻撃は重い。
右腕に持ったブレード一本で、両手で槍を構えるミジェラ女王を押している。
防御の上からでも圧力が伝わり、ミジェラ女王が苦悶に顔をゆがめる。
「ッ!!」
そのときアレックスが、突如、左手に二本目のブレードを創造した。
そのブレードをミジェラ女王に突き刺す。
「なっ―――――ぐああっ!!?」
ミジェラ女王の横腹にブレードが突き刺さる。
アレックスは笑いながらハイキックを放ち、ミジェラ女王のこめかみを蹴り飛ばす。
ミジェラ女王が、私の近くまで吹っ飛んできた。
「く……」
うつぶせに倒れたミジェラ女王。
ブレードに貫かれた横腹からは濁々と血が流れているが……
それ以外の部位も、満身創痍である。
折れている部位もある。
見た目以上にダメージを負っているようだ。
ミジェラ女王が寝転がり、仰向けになる。
「すまない……私は、ここまでだ……」
そう、静かに告げてくる。
ミジェラ女王の戦闘不能。
だが、ちょうど私の錬成作業も、そろそろ終了する。
私は錬金術の最終工程を済ませて、武器を完成させる。
「よし」
完成した。
できあがったのは【ジルディアスソード】。
大きさはショートソードほどだが、見た目はなんともまがまがしい。
青紫色の刀身。
その刀身に、血管のごとき形をした糸が絡み付いている。
不気味で、気持ち悪くすらある武器デザインだ。
なお性能や効果は以下のようになっている。
◆◆◆
【ジルディアスソード】
大魔将ジルガーンの魔石をベースにして造られた魔剣。
特殊効果
1:使用者の攻撃力と敏捷のステータスを飛躍的に高める
2:この剣によって斬りつけた相手の回復や再生を完全に妨害する(効果時間は1時間)
3:使用者の魔力を少しずつ吸い取る
◆◆◆
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