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第8章533話:王都の騒乱26:別視点3

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「く、くくくく!」

ミジェラは倒れながら、笑っていた。

立ち上がる。

額から血が流れていた。

騎士団長が尋ねる。

「じょ、女王陛下……ご無事でございますか」

「ああ」

ミジェラは怪我をしていたが、無事である。

空から飛んできた重量物じゅうりょうぶつの直撃。

常人ならば死んでもおかしくないダメージのはずだが……

ミジェラは並みの人間ではない。

かつて戦場を駆け抜けた戦士。

どちらかといえばベアール将軍のような、女傑にょけつである。

「痛みのおかげで、目が覚めたぞ」

「え……?」

――――この国の王族は、英才教育の過程で、戦場に送り込まれる。

そして誰よりも最前線で戦い、敵将を討伐してこなければならない。

『総大将が最前線で戦うなど骨頂こっちょう』などという正論は、この世界には存在しない。

むしろ王こそ最前線で戦い、結果を残さねばならない。

……そんな価値観の中で育ったミジェラは、女王でありながら、生粋きっすいの戦士であった。

誰よりも血をたぎらせ、馬を駆り、最前線で敵を、虐殺してまわった戦鬼せんきである。

「会議室で考え事をするのは飽きた。私も出る」

「で、出る……とは?」

大臣が尋ねる。

「決まっている。出陣だ」

とミジェラが断言した。

周囲に衝撃が走る。

大臣がおそるおそる確認する。

「女王陛下、おんみずからご出陣なされると!?」

「そう言ったのだ。王都で暴れまわる魔物も、この騒動を引き起こした黒幕も、全てこの手でひねり潰してくれる」

直後、ミジェラから威風が放たれる。

それは王者の威風ではなく、戦鬼としての威風だ。

修羅しゅらのごとき威圧感に、その場にいた者たちが身震みぶるいする。
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