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第8章523話:王都の騒乱16
しおりを挟む私は言った。
「まずは、わたくし一人で戦いますわ」
「っ!?」
「えっ!?」
と、レオンとラクティアが困惑の声を漏らした。
「何か狙いがあるんですか?」
とエドゥアルトが尋ねてきた。
「わたくしが戦っているあいだに、あなたがた4人は、ジルガーンの動きを覚えてほしいんですの」
「動きを……ですか」
とフランカ。
「はい。ジルガーンはクセのある動き方をするので、暗記してください。覚えることができれば、逆にこちらの攻撃チャンスができますもの」
いきなりレオンたちをジルガーンとの戦いにぶちこむのは危険だ。
だからまずは私が先に戦い、レオンたちにジルガーンの動きを観察させる。
そのうえでジルガーンとの戦いに参戦してもらう……という流れだ。
「覚えるのはいいけどよ……マジで一人で大丈夫かよ?」
とレオンが言ってきた。
「もちろんですわ」
と私は首肯する。
ジルガーン戦も散々ゲームでやったからね。
動きは完璧に覚えているつもりだ。
大魔将ジルガーンのすぐ近くまでやってきた。
二本足で立つ5メートルの巨体。
近くまでやってくると、その巨大さがよくわかる。
そして渦巻く魔力と、発せられる威圧感。
戦わずともジルガーンが強大な魔物であることは、誰の目にも明らかであった。
「ワレ……ハ……ジルガーン(我はジルガーン)」
とジルガーンがぽつりぽつりと語りだす。
首がなく、声帯がないはずのジルガーンだが、音を作る魔法によって声を発しているのだ。
「サイヤクノ……ショウニシテ……レキセンノセンキ(災厄の将にして歴戦の戦鬼)」
まさに厄災といっていい強さを持つラスボス。
それがジルガーンだ。
「ワレノモタラス……サイカヲ……トメテミヨ……ニンゲン(我のもたらす災禍を止めてみよ、人間)」
ジルガーンが大剣を構えた。
「言ったように、最初はみなさんは下がっていてください」
と私は他の4人にそう命ずる。
4人は心配げな顔を浮かべるも、指示にしたがって後ろに下がった。
―――――さあ、ラスボス戦の開幕だ。
私もジルガーンと相対するように、剣を構える。
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