グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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最初の壁

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<ルチル視点>

私。

レオン。

ラクティア。

以上3人で、変身中のジルガーンに猛攻もうこうする。

だが。

ジルガーンは倒れない。

3人で40発以上の斬撃を与えたが、それでも削りきれない。

(でも、あともう少し!!)

ぎりぎりまで諦めるつもりはない。

攻撃を叩き込み続ける。

そして。

いよいよジルガーンの第二形態への移行が完了する。

「――――――――ッ!」

第二形態になったジルガーンから衝撃波しょうげきはが放たれる。

「ぐっ!?」

「きゃっ!?」

「っ!!」

私たち3人は、衝撃波をぶつけられて吹っ飛ばされた。

三人同時攻撃さんにんどうじこうげきを強制的に停止させられる。

――――ジルガーンの第二形態。

首なしの将軍だったジルガーンに、頭部とうぶが出現していた。

濃い灰色の粘土ねんどで固めたような頭部だ。

歴戦の戦士といった強面こわもて

ほつれたような髪のロンゲ。

二本のねじれた角。

さらに鎧からも、肘や肩の部位に、つののような突起が生えている。

この第二形態は、大魔将ジルガーンあらため【王魔おうまジルガーン】と呼ばれている。

「こいつはやべえぞ……」

とレオンがつぶやいた。

ラクティアも身震みぶるいしている。

ジルガーン第二形態の偉容と、まがまがしい魔力に、2人は圧倒されていた。

私は歯噛はがみする。

(倒しきれなかった……でも!)

ジルガーンのHPはもう、残り少ないはず。

私はそう確信していた。

だから、最後の希望をかけて武器を投擲とうてきする。

「ハァアアッ!!」

さきほど作ったAランク剣【グレイスワンダー】。

それをジルガーンに向かって放り投げる。

グレイスワンダーがジルガーンの額に向かって、まっすぐ飛んでいく。

くうを切って飛来するグレイスワンダーが、ジルガーンの額に突き刺さった。

次の瞬間。

ふいにジルガーンがビクッと大きく痙攣けいれんした。

「グォオオオオオオオッ!!!?」

直後に、断末魔だんまつまのような咆哮ほうこうを上げる。

やがて咆哮を終えると、ジルガーンがじっと硬直する。

ジルガーンの威圧感が消えていく。

ややあって、ジルガーンが力なく倒れ……

ぴくりとも動かなくなった。

「はぁ……はぁ……倒した、のか?」

とレオンがつぶやいた。

私はうなずきながら答える。

「ええ。討伐完了ですわ」

するとラクティアが安堵あんどと達成感を込めて言った。

「やった……ッ!」

私たち3人は、肩で息をしていた。

汗もかいている。

しかし、今はそれすらも爽快に感じた。

大きな難関を越えたからである。

と、そのとき。

「ルチル様!」

エドゥアルトが声を上げる。

さらにフランカが言ってきた。

「すみません……こちらの援護をお願いできませんか!?」

まだエドゥアルトとフランカが闇の兵士長と交戦中である。

ジルガーンを倒しても、召喚された魔物たちが消えるわけではない。

闇の兵士長はソロで戦うにはなかなか手強い相手だ。

私たちも加勢する必要があるだろう。

「すぐにいくぜ!」

とレオンが言って、エドゥアルトと戦っていた闇兵士長やみへいしちょうに斬りかかった。

闇兵士長はレオンの接近に気づいたので、すぐさまガードする。

だがレオンに気を取られたことで、闇兵士長は隙をさらした。

そこをエドゥアルトが見逃さず、攻撃を刺し込む。

「グ、グググッ……!!!」

エドゥアルトの剣が首に突き刺さり、闇兵士長がくぐもった声をもらす。

「せいッ!!」

エドゥアルトが剣を引き抜き、さらに二撃目を放った。

その二撃目によって、闇兵士長が絶命する。

あと一匹。

「ハァアアアッ!!」

とラクティアが声をあげて魔法を発動する。

聖属性魔法せいぞくせいまほう連弾れんだんが炸裂し、フランカと戦っていた闇兵士長に飛来した。

「!?」

闇兵士長は攻撃をなんとか回避しようとする。

魔法弾の一つ、二つは回避できたが、三つ目が足に直撃した。

闇兵士長が膝をつく。

そこにフランカがバトルアックスを振り上げ――――

えいッ!!!」

と喝破の声をあげて、振り下ろす。

バトルアックスがまるでギロチンのごとく、闇兵士長の首をスパッとね飛ばした。

もちろん絶命である。

これで2体の闇兵士長を処理することはできた。
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