グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します！―

第8章520話：王都の騒乱13

レオンはエドゥアルトたちに尋ねる。

「あんたら従者だろ……加勢しないのか」

「まあ……ルチル様に加勢など必要ありませんし」

とエドゥアルトが苦笑した。

フランカも答える。

「ルチル様は英雄ですからね！　あんな魔物に負けるわけないです！」

完全にルチルのことを信じ切っている二人。

レオンは困惑する。

「そんなこと言ったって、あの魔物……めちゃくちゃ強いだろ……」

とレオンはつぶやきながら、私の戦いへと視線を戻す。

そのとき。

闇騎士がわずかに宙に浮いた。

さらに二刀流の剣を交差するように構える。

（来た……！）

闇騎士の必殺奥義ひっさつおうぎ――――乱撃らんげきの兆候だ！

私は身構える。

次の瞬間。

闇騎士が二刀流の剣を激しく振り回してきた。

右の剣を振り払い。

すぐさま左の剣を振り払い。

切り上げや回転斬りを混ぜながら。

すさまじい連撃を放ってくる闇騎士。

初見だとここでゲームオーバーになることも多い高速連撃こうそくれんげき。

しかし私は闇騎士の動きをほとんど覚えている。

さらにバフポーションによってスピードを強化しているので、闇騎士の速さにもついていける。

だから、闇騎士による激しい乱撃を、回避する。

回避する。

回避する。

剛風ごうふうをまとった剣撃けんげきが荒れ狂うが、私は完璧にかわしていく。

そして闇騎士が下段から振り上げ、続けざまに上段から振り下ろしをして……連撃が終わった。

「まじかよ……全部かわしたぞ！？」

とレオンの驚く声がした。