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第8章505話:イリスフォルテ視点2

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そして直後、ジルガーンはふいに大剣を天へとかかげた。

――――ジルガーンもまた召喚魔法しょうかんまほうを使うことができる。

ラスボスであるジルガーンが召喚するのは、闇の兵隊であった。

闇の兵士。

闇の騎士。

闇の魔獣。

それらを大量に、召喚する魔法。

ただし、召喚する場所はクランネル平原ではない。

クランネル王都の内部である。

ジルガーンのいる位置から王都まで、そこそこ距離がある。

しかし、そんなことはお構いなく、ジルガーンの召喚陣しょうかんじんが、王都おうとないの各地に発生する。

その召喚陣を通じて、闇の軍団が、クランネル王都の内部に出現した。

街路に。

広場に。

公園に。

闇の勢力が、次々と現れる。

体格としては最低でも身長2メートル、大きなものでは身長5メートルに達するような、巨大な兵隊たち。

それから5メートルの獅子のごとき魔獣たちが、現れるなり、周囲にあった建物や人間を襲撃しはじめた。

「きゃあああああああっ!!?」

「な、なんだこいつら!? うあ、うわああああああ!?」

「ばけものだ! 逃げろおおおお!!」

あちこちで悲鳴が上がる。

斬り殺される人々。

壊されていく街。

アレックスの放ったハリケーンに加えて、ジルガーンの召喚した軍団が、王都を壊滅させていく。

なおジルガーン自身は、クランネル平原から一歩も動かず、待機していた。

イリスフォルテはつぶやく。

「さて、私の目的は済んだ。あとは召喚した魔物どもに任せるとしよう」

イリスフォルテはきびすを返した。

歩き始める。

そんな彼女の眼前に、影色かげいろの穴があらわれる。

まるでブラックホールのごとき虚空こくうの穴に、彼女は足を踏み入れていく。

やがて穴が消失する。

イリスフォルテは穴に飲み込まれて消え、平原には大魔将だいましょうジルガーンだけが残されるのだった。
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