グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第8章465話:ゼリス視点

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<ゼリス視点>

その日、ゼリスは出かける準備をしていた。

牢屋にいるアレックスに面会するためであった。

(アレックス様、本当にお可哀想)

とゼリスは思った。

(ルチル様にめられて、牢屋に投獄されるなんて……こんなの、許されてはいけないことです)

アレックスは軍で不祥事ふしょうじを起こし、半年間も、監獄で囚人生活を送らされるという。

王族にしては、不自然なまでに厳しすぎる処罰だ。

間違いなくルチルの暗躍があったと考えられる。

なぜなら、一時的にルチルは、アレックスの上官となっていたからだ。

ルチルはその立場を利用し、裏で根回ねまわしをして、アレックスを重罪へと追い込んだのだろう。

(軍でアレックス様が起こした不祥事というのも、ルチル様が仕組んだことかもしれない)

とさえ、ゼリスは思った。

……もちろん全てゼリスの勘違いであるが。

(でも、私にはどうすることもできません)

アレックスの有罪判決をくつがえすことはできない。

だからせめて、アレックスに安らぎを与えてあげたいと思った。

(そうだ。アレックス様のために、何か差し入れでも持っていきましょうか!)

面会のときに、美味しいものでもプレゼントしたら、喜ぶだろう。

そう思って、何を買うか考えながら、家を出ようとしたが……。

「!!?」

玄関扉げんかんとびらを開けたら、そこに一人の女性が立っていた。

見覚えのある人だ。

ゼリスは名前を口にする。

「ラ、ラミゼア様?」

ラミゼア・グラムスティード。

グラムスティード家の公爵令嬢である。

「久しぶりね、ゼリス」

「は、はい。お久しぶりです」

と挨拶をするゼリス。

ゼリスはラミゼアと接点は少なく、彼女の派閥にも所属していなかったのだが……

かつてルチルと敵対したとき、ラミゼアと少し話したことがあったのだ。

ラミゼアのお茶会に呼ばれて、ルチルに対する愚痴を聞いてもらったりもした。

どうやらラミゼアもルチルと敵対的な関係にあるようで、ゆえにゼリスは、ラミゼアのことが嫌いではなかった。

同じルチルを嫌う者同士として、親近感を覚えていた。
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