グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第8章457話:レオン

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学生窓口がくせいまどぐちへとやってきた。

私は窓口にいた職員に、復学届を提出した。

復学が無事に受理される。

そして職員から、復学後に受講じゅこうする講義を決めておくようにと言われた。

講義か……

嫌いじゃない講義も多いのだが、単位をしっかり確保しようとすると、受けたくもない講義を受けなければならない。

それは面倒だ。

またデュアラリー試験を受けて、単位をパスしてもいいかもね。






学生窓口を立ち去る。

ティールームのある【個室棟こしつとう】へと向かう。

その途中。

ふと私たちの正面に、立ちはだかる人物がいた。

レオンである。

「よう」

とレオンは私に声をかけてきた。

「お久しぶりですわね」

「ああ」

とレオンがぶっきらぼうにあいづちを打つ。

レオンは告げる。

「以前、居酒屋であんたが俺に依頼をしただろ? 古鏡ふるかがみをとってこいって」

「そんなこともありましたわね」

ずいぶん前のことで忘れていたが、レオンには【ホーリスの森】にて古鏡ふるかがみを取ってくるように依頼したのだ。

レオンは古鏡を無事に取ってきたが、私は古鏡を受け取らず、そのままレオンに預かってもらうことにした。

さらに『定期的に古鏡を確認しなさい』とも伝えておいた。

なぜなら古鏡は、レオンを【聖剣士せいけんし】へと覚醒させる効果があるからだ。

いずれじゅくすと、古鏡は光りかがやき、レオンの内なる能力を目指めさせる。

そうすることでレオンは勇者たるチカラを得るのだ。

「あの古鏡ふるかがみ……いきなり光りだしてな。そのあと、俺は不思議な力を得た」

「……!」

私は目を見開く。

そして尋ねた。

聖剣士せいけんしになったということですの!?」

「聖剣士……というのか? とにかく、不思議な力だ。剣を振ってると光のオーラが出たり、聖属性のスキルが次々と使えるようになった」

間違いなく【聖剣士】だ。

聖剣士になると、通常攻撃つうじょうこうげき時に低確率で聖属性が付与される。

剣を振っていると光のオーラが出る――――というのは、まさに聖属性のエフェクトだろう。

「おめでとうございます。あなたは、たぐいまれなる剣士の才能に目覚めたのですわ」

「そうなのか」

とレオンは応じる。

そして尋ねてくる。

「……あんた、わかってて俺に、古鏡を取りに行かせたのか?」

「さて、どうでしょうか」

と私は答えた。

レオンは特に追及してくることはなく、告げた。

「とにかく、このチカラを得てから、すこぶる調子が良い。冒険がはかどっている。だからあんたには感謝を伝えておきたくてな。……それだけだ」

そう言って、レオンは立ち去っていった。

私はその背中を静かに見送る。

――――ラクティアは聖巫女に目覚めた。

――――レオンも聖剣士に目覚めた。

ラスボスと戦う準備が、ようやく整った。

まだラスボスが現れるのはずいぶん先になるだろうが、いつ来ても大丈夫な状態にはなった。

「相変わらず、礼儀や言葉遣ことばづかいがなっていない御仁ごじんですね」

とマキが、レオンの去ったほうを見つめながらつぶやいていた。

私は苦笑しながら、告げた。

「さあ、ティールームへ向かいますわよ」

かくして私たち4人は歩みを再開した。
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