グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第8章478話:ルーガの訪問

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さらに翌日。

この日は雨が降っていた。

さすがに人の訪問はないかと思っていたが……

昼過ぎに、父ルーガが屋敷を訪れた。

とりあえず2階リビングに通す。

お茶を出す。

飲みながらルーガが言った。

「久しぶりだな、ルチル。領地経営は上手くいっているようだな」

「はい。現在は、ルチル商会の部下であるフランチェスカに、代官を任せておりますが」

「うむ。お前を領主の地位に縛り付けておくのは惜しいからな。それでいいと思うぞ」

とルーガは微笑んだ。

……そんなことを言いに、わざわざ屋敷にやってきたわけではあるまい。

私は尋ねる。

「それで、本日はどのようなご用件でしょうか? 父上」

するとルーガはお茶をテーブルに置いてから、告げた。

「……アレックス王子の件について、だ」

「ああ。その件ですか」

「お前が王子との婚約破棄を、女王陛下に申し伝えたと聞いた」

「はい。おっしゃる通り、わたくしは婚約を破棄したいと、女王陛下に申し上げましたわ。もしかして、父上はご反対でしたでしょうか?」

「いや、反対ではない。アレックス王子がさきの戦争において、目に余る暴挙をおこなったことは、私も耳にしている。女王陛下も息子の不始末に対して、大変お怒りのようだしな。ネキア中隊長が大事に至らなかったから良かったものの」

確かにネキア中隊長が無事だったのは良かった。

もし死んでいたら、アレックスへの処罰は遥かに厳しいものになっていただろう。

「あのような王子は、お前にふさわしくない。ゆえに婚約を破棄して正解だと、私は思う」

とルーガは結論を述べた。

私は微笑みを返す。

「……わたくしの決断を肯定していただき、ありがとうございます。他ならぬ父上がそのようにおっしゃってくださるのは、とても心強いですわ」

「うむ」

とルーガはあいづちを打った。
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