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第8章476話:聖巫女
しおりを挟む翌日。
引き続き、屋敷に訪問者が現れる。
今度は聖女さまだ。
神殿で出会って以来、一度も会っていなかった聖女ユリール。
私が王都に帰ってきたのを見計らい、会いにきたようである。
しかし、驚いたことがあった。
それはユリールが一人ではなかったことだ。
なんとラクティアを連れていたのである。
――――以前に聖女ユリールに会ったとき、ラクティアの存在については伝えておいた。
あれからユリールはラクティアを神殿に招き、薫陶を授けたようであった。
「本日はまさに、このラクティアの件でご報告に参りました」
とユリールは告げた。
「ルチル様がお教えくださったように、このラクティアには、聖魔導師としての類まれなる才能がありました。既に【聖巫女】として覚醒し、なおも成長を続けております」
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だがラクティアは、とっくに聖巫女へと進化を遂げたという。
私がユリールにラクティアの存在を教えてから、ほんの数ヶ月のあいだに……
「ラクティアは私を越える勢いです。もう教えられることもなくなってきましたし、そろそろ代替わりを考える時期かもしれません」
ユリールはそう告げる。
ラクティアは相当に優秀なようだ。
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