グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第8章474話:アレックス視点2

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「私が、ゾルトゥーク監獄の囚人になるなど……」

ゾルトゥーク監獄といえば、クランネル王国で最も過酷な刑務所だとされている。

凶悪犯罪者きょうあくはんざいしゃばかりが収監されており、監獄内かんごくないのルールも非常に厳しい。

囚人しゅうじん同士どうしの付き合いも大変だが、看守かんしゅ冷徹れいてつな人間が多く、監獄生活は熾烈しれつを極めるという。

アレックスは王族だから、看守から忖度そんたくされる可能性もあったが……それも期待できない。

なぜなら小汚こぎたない姿に身をやつし、王子ということは伏せたうえで、監獄に預けられる予定だからである。

そこまで徹底して、今回アレックスは、罰を受けることになっていた。

(たった半年ではあるが……)

半年の懲役というのは、そんなに長くはない。

しかし、これから冬になる。

監獄の中で越冬えっとうするなど、想像を絶する地獄に違いない。

なお、ゾルトゥーク監獄への送致は、今日から10日後におこなわれることになっている。

あと10日で、地獄の監獄生活が始まる――――

そう考えるとアレックスは身震いが止まらない気分だった。

(なぜ王族の私が、こんな目に遭う?)

原因はハッキリしている。

そう。

全ては、ルチルのせいだ。

ルチルさえいなければ、こんなことにはならなかったはずなのだ。

(牢獄から出たら、ルチルを殺してやる!!)

とアレックスは憎しみの意思を強固にした。





「……」

そんなアレックスの様子を、ひそかに見つめる者がいた。

影の形をした女である。

身長は185センチぐらいという長身ちょうしん

影の鎧を身にまとっている。

仮面をかぶっているため、容貌ようぼうはうかがえない。

(この王子は使える……)

と彼女は思った。

(わが目的のために、せいぜい利用させてもらうとしよう)

静かに彼女は、牢獄を去る。

かくして、のちに【王都事変おうとじへん】と呼ばれる巨大な騒乱そうらんが始まりを迎える。

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