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第8章471話:帰還
しおりを挟む――――最終章――――
1ヵ月後。
フランチェスカへの引継ぎを果たす。
これで私の領主としての生活は終了した。
ルチル領都の屋敷も、フランチェスカへと移譲した。
私はルチル領をあとにして、クランネル王都へと舞い戻る。
夕方。
王都の屋敷。
エントランスに入った私。
「「「おかえりなさいませ、お嬢様!」」」
と使用人たちが迎えてくれる。
私は告げる。
「ただいま。お腹が空いていますの。食事の用意をお願いできますかしら」
するとメイド長が答える。
「かしこまりました。すぐに支度を始めさせていただきます」
「よろしくお願いいたしますわ。ああそれから」
と私は、自分の斜め後ろに立つ、リファリネスを示唆した。
「彼女はリファリネス。わたくしの新しい護衛となった者ですわ。本日より屋敷に住まわせることになりますから、案内や、部屋の用意をお願いいたします」
「かしこまりました。お任せください」
とメイド長は一礼して、肯定の意を示した。
私はリファリネスや、エドゥアルトたちを置いて階段を昇る。
自分の部屋へと向かった。
――――自室。
中に入るとすぐ、私はベッドに倒れこんだ。
(はぁー。帰ってきたぁ)
と深呼吸をする。
ごろりと寝転がって、仰向けになる。
領主の仕事を完遂しての帰還。
達成感が心に満ちあふれていた。
(領主として活動したことは、本当に良い経験になった)
としみじみ思う。
ただ思い返せば、めちゃくちゃ忙しかったな。
今後は学園生活に戻るわけだが、今月いっぱいは休学したまま、何もしない日々を過ごしてもいいかもしれない。
『お疲れ様』
と、ふいに声をかけてくる者がいた。
シエラ様である。
ベッドの横に姿をあらわしている。
「シエラ様。お久しぶりですわね」
『ええ、久しぶり。……ずいぶん満ち足りた顔をしているわね。領主生活は、上手くいったようね?』
「はい。できることはやったうえで、フランチェスカに引き継ぎを終えることができましたので。ルチル領はしばらく安泰でしょう」
『それはよかった』
とシエラ様が微笑む。
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