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第7章451話:領地32

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準備は完了した。

「私が開けます」

そう述べたエドゥアルトが、ボス部屋の扉を押し開く。

重厚じゅうこうな物音を立てながら、扉が開いていく。

そして、扉が開き切ると、ボス部屋の中の様子が視界に広がった。

前後左右ぜんごさゆう100メートルぐらいある空間だ。

天井もきわめて高い。

その部屋の中心にいるのが―――女である。

腰ぐらいまで伸びたロングヘアの、滑らかな紅色の髪。

裾が破けた黒いマント。

赤い目。

牙。

コウモリのような形をした巨大な翼。

このボスは……

「ヴァンパイア……?」

私はぽつりとつぶやく。

うん、特徴的に間違いない。

女のヴァンパイアだ。

そう判断してすぐ、私は考える。

(これは対策が必要そうだね)

ヴァンパイアは非常に強い種族だ。

攻撃力、防御力、速度などの基礎ステータスが全体的に高く、保有している魔力量の膨大である。

一応、力押しで殺すこともできるが、なかなか苦労する相手だ。

なのでヴァンパイアの弱点である聖属性の武器で攻撃するのがセオリーである。

ボス部屋に入ってからやることではないけれど、武器に属性をエンチャントしたいところだ。

「エドゥアルト、フランカ」

「……!」

「はい!」

「一時、戦闘を任せます。少しだけでいいので時間を稼いでいただけますか」

私がそう要求する。

エドゥアルト、フランカは強くうなずいた。

「わかりました!」

「頑張ります!」

エドゥアルトが剣を構える。

フランカがバトルアックスを構える。

私は武器エンチャントのため、錬金術を開始することにした。

そして。

「ギグァアアアアアアッ!!」

ヴァンパイアが、声にならない叫びをあげながら、突っ込んできた。

翼を使って地面すれすれを滑空かっくうしてくる。

悪魔的に伸びたツメで、私に向かって突きを放とうとしてくるが、それを阻むようにフランカが立ちはだかる。

「……ッ!」

フランカがバトルアックスを振り回した。

ヴァンパイアが攻撃をキャンセルして回避する。

そのままヴァンパイアがくるりと空中で回転して、回し蹴りを放った。

「きゃあっ!!?」

その回し蹴りがフランカのこめかみに直撃する。

フランカがもんどり打ちながら床を転がる。
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