グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第7章443話:視察10

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翌朝。

メイルデント鉱山の第5層が解放されたことを、無事に確認し終えた市長が、私の泊まる宿へとやってきた。

市長は大興奮しており、私への多大な感謝をあらわにした。

その結果、夜に、市長の邸宅で晩餐ばんさんがおこなわれることになり、私たちは誘われることになった。

なお、鉱山攻略こうざんこうりゃくのお礼の晩餐ということなので、攻略に関わっていないリファリネスについては、宿で待機してもらうことにした。

――――市長邸しちょうてい

晩餐のテーブルに着く。

今回はエドゥアルトやフランカも同じ食卓に着席する形だ。

並べられた料理は、

高級ワイン、

いろとりどりのサラダ、

複数の種類のパン、

ターキーのごとき大きな鶏肉、

ステーキ肉、

緑色のソースがかかった焼き魚、

リンゴのデザート、

……など。

なかなか豪勢ごうせいなものである。

私は市長と乾杯かんぱいを済ませて、まずはひとくち、鶏肉を食べてみる。

(うん、美味しい)

やわらかいのに、歯ごたえもしっかりある。

あとスパイスがかかっているのか、ぴりっと辛味からみがあった。

悪くない味である。

「お味はいかがでしょうか」

と市長が少し緊張した面持ちで尋ねてきた。

「ええ。美味しいですわ」

「さようですか。それは良かった!」

と市長はホッとしたように微笑んだ。

市長は続けて、告げる。

「メイルデント鉱山の件、本当にありがとうございました。第5層の解放については、こちらでも確認が取ることができました。現在、採掘の手続きをおこなっております」

迅速な対応だ。

私がメイルデントに来たときより、市長がやる気に満ちあふれているように感じる。

未来に希望が持てたことで、モチベーションが高まっているのだろう。

市長が言った。

「ルチル様は英雄であるとうかがっておりましたが、そのように謳われる理由が理解できました。あなたはメイルデントにとっても、英雄であり、救世主きゅうせいしゅです」

「大げさですわ」

「いえいえ、あなたのおかげでメイルデントは救われたのですから。私にとっても都市にとっても大恩人だいおんじんであることに違いありません」

市長がにこにこと笑いながら、ワインをあおる。

私も静かにワインをすする。

うん……苦く、甘酸あまずっぱい、美味しいワインだ。

ロゼワインに近いテイストである。

「ところで、」

と市長が尋ねてきた。

「第5層、ボス部屋の奥についてなのですが、限定魔法陣げんていまほうじんによって閉ざされた空間がありました。あの空間についてなのですが……」

私は、市長が言わんとするところを察したので、先に答えることにした。

「その空間については、こちらで調査いたしますわ。わたくしたちしか、立ち入ることができませんもの」

限定魔法陣を素通すどおりできるのは、ボス部屋を攻略した私、エドゥアルト、フランカと、リファリネスだけである。

市長たちには調べたくても入ることすらできない。

「はぁ……中に何があるのか、お聞きしても?」

「どうやら転移装置があるようですわ」

「転移装置……なるほど」

「どこに転移するのかわからないものですが、ひとまず転移魔法を起動するために必要なアイテムを探さなくてはいけません」

「そういうことでしたら、ルチル様の恩返しもかねて、私どもがお探しいたしましょう」

と市長が提案してきた。

私は首を横に振った。

「申し出はありがたいのですが、既にアテがありますの」

「そうだったのですか」

「はい。ただ、絶対にそのアイテムが手に入るわけではありませんので、何かあったときは、市長を頼ることもあるかもしれません」

「そのときは誠心誠意せいしんせいい、ルチル様に尽くします。いつでも私に、話を持ちかけてくださいませ!」

と市長は意気込いきごんだ。
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