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第7章442話:領地23
しおりを挟むこのあと、私は副都の視察をおこなうことにした。
昼。
晴れ。
実際に外に出て、都市の中を歩いてみる。
こざっぱりとした街並みであるが、雰囲気は悪くない。
むしろ活気があるようにすら感じられた。
私はつぶやく。
「鉱山資源が減少していることによって、都市の景気は悪化しているはずですが……それを感じさせないぐらいには、活気がありますわね。なぜでしょうか」
ふと口にした疑問について、エドゥアルトが答えた。
「それはきっと、ルチル様が大幅な減税をおこなったからだと思いますよ」
フランカも同意する。
「エドゥアルトさんのおっしゃる通りだと思います。税金が半減するなら、生活が格段にラクになりますしね。今後も段階的に減税すると宣言したのですから、ジルフィンドのみなさんも未来に希望が持てるでしょう」
……ふむ。
なるほど。
減税政策が領民に明るい影響を与えているのか。
なんにせよ活気があるのはいいことだ。
この活気を持続させられるよう、つるはしの販売計画はきっちり実現させなければいけないね。
副都を一通り巡って、日が暮れてきたので宿に入ることにした。
この宿は、市長が私をもてなすために紹介してくれた宿である。
副都において最大の高級宿。
名前はリキュナンド。
通常、こういう宿はスイートホテルのような内装が多いのだが、リキュナンドは全体が石づくりの宿だ。
その最上階の部屋が、提供された。
石造りの部屋。
床には豪華なじゅうたんが広がり、壁にはいくつかの絵画が掛けられている。
家具としてはテーブルと椅子。
それから天蓋つきのベッドが壁際に置かれている。
さらに大きな窓からは、副都の景色が見晴らせる。
夜の街並みを見下ろせるし……
視界を上に向けると、美しい満月と星空が広がっていた。
良い部屋だ。
ルームサービスとして、高級の林檎酒がテーブルのうえに置かれていた。
これを錬金術で冷やしてから、夜景を眺めつつ、優雅な夜を過ごすとしよう。
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