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第7章420話:領地へ
しおりを挟むまあ婚約破棄の件はいったん置いておいて。
私には、やるべきことがある。
領主の仕事だ。
フランチェスカに引き継ぐまで、私は領地経営をしなければならない。
アレックスとの話し合いは、それが落ち着いてからでいいだろう。
翌日。
私は、クランネル王都を発った。
ジルフィンドへと向かう。
クランネルとジルフィンドの国境にたどりつく。
いや……
もう国境とは呼ばないか。
なぜならジルフィンドの地は、すでにクランネルの領土となったからだ。
かつて国境と呼ばれた場所も、現在は、ただの関所。
国境ではなく領地の境――――領境と呼ぶべきだろう。
ジルフィンド公国も【ジルフィンド地方】と呼ぶのが正しい。
私は、ジルフィンド地方にたどりついた。
さらに複数の領地を通って、ルチル領へと入る。
4つの領地を統合して【ルチル領】と呼んでいたが、うちの1つは神殿へと寄進した。
よって現在は3つの領地をルチル領と呼んでいる。
大公領
辺境伯領
伯爵領
……以上の3つである。
このうち、私は大公領に入った。
公都がある場所だが……
これもやはり、もう公都とは呼ばない。
領都である。
呼び方がいろいろ変わってややこしいな。
領都にたどりつく。
人口30万人が暮らす巨大な都市。
クランネル王国は赤い屋根の家が建ち並ぶ景観だが……
この領都は、青い屋根の家や、アパートメントが建ちならぶ街並みが特徴的だ。
「……」
私は街路を歩く。
この大都市が、にぎわいにあふれた活況の街であったのは、もうずいぶん前のことだ。
オーギュストが大公に就任してからというもの、ここは軍事政権による搾取の中心地となった。
圧政が敷かれ、都市の市民たちは重税と弾圧に苦しんだ。
では、そんなオーギュストが消えた現在……
都市に活気が戻ったかというと、そんなこともない。
当然だ。
ジルフィンドはクランネルに負けた敗戦国。
国が戦争に負けたばかりで、活気にあふれるなんてことはありえない。
都市の住民たちは、自分たちの明日がどうなるか、不安に包まれている。
(安心して。必ず、住みやすい領地づくりをしてみせるからね)
と私は、心の中で、市民たちにつぶやいた。
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