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第7章396話:ドレス
しおりを挟む※このお話は三回目の2022年7月18日、慧が占ってもらう前です。時系列としては11話の直後となります。
タイトルでも申し上げましたが、心臓の弱い方は閲覧注意です。心臓が並の人は平気だと思いますが、念の為お昼 に読んで下さい。ホラーが大好きな方にはちょっと物足りないかもしれません。
俺はあれから慧と会えていない。共通の知人に聞いてみるが、嫌な顔をするだけで誰も教えてはくれなかった。
(あの噂のせいで…! 恵奈の奴…今度会ったら、ただじゃおかねえ!!)
今、慧のアパートまで来ている。
これが何回目なのか…彼女に会おうと何度訪ねてみても、呼び鈴の音が反応するだけで慧が部屋から出てくる事はなかった。
(今日も留守か…。もしや…引っ越したのか…?)
何の手掛かりも得る事は出来ず、俺は慧の住むアパートを後にした。
(慧が何より大切だったはずなのに…いつの間にか忘れていた。失ってから気付くなんてな……。)
沈んだ気持ちで薄暗い路地裏を歩く。慧のアパートから帰る時はいつもこの道を通るのだ。
「こんばんは!」
背後から声を掛けられる。
突然の事に驚き振り向くと、魔法少女のコスプレをした女の子が立っていた。
彼女はとても愛らしく、その独特な魅力に惹かれそうになるが俺の勘が待ったをかける。
(今の今まで人の気配なんてまるで感じなかったのに……。)
「慧ちゃんの幼馴染だよね?」
(慧…だと…?)
「慧を知ってるのか? 教えてくれ! 彼女は今どこにいるんだっ!?」
「そんな事知ってどうするの?」
「会いに行くに決まってる!」
彼女の手掛かりをようやく掴んだのだ。俺は居ても立っても居られなくなり、その少女を問い詰める。
「ダメだよ。個人情報保護ってやつだね!」
「くそっ!」
(周りには誰もいない…それならっ!)
周囲を見回し人がいない事を確認する。
「良いのか? 今ここには俺とお前しかいないんだぜ?」
俺は少女に凄んでみせる。こうして脅しつけてやれば素直に話すと思ったのだ。
しかし……。
「それで?」
少女はどこ吹く風といった様子で、笑顔を崩さない。まるで親しい友人と会話しているかの如く、俺の脅しなど気にもとめていない。
「…お前が今襲われても誰も助けちゃくれない。」
フフッと笑い、平然と距離を詰めて来る少女。
「そうは言うけどさ……。それはアナタにも同じ事が言えるよね?」
その態度が気に入らず俺は少女に掴み掛かろうと腕を振り上げ……。
ボタっ
(腕が上がらねえ……。それになんの音だ…?)
音の発生源を確認すると、腕に感じた違和感の正体がそこにはあった。
俺の腕が地面に転がっていたのだ。
(なん…で……?)
全く痛みを感じなかった。何故俺の腕が地面にあるのかも分からない。
(コイツは何だ……?)
少女に対する恐怖が沸き上がって来る。
「待て! 待ってくれ! 俺に何をした!?」
少女は笑顔を浮かべるだけで、俺の質問には答えない。
「助けてくれ! なっ? なっ? お、お前も捕まるのは嫌だろ?」
俺の命乞いは全く無価値なのか…少女は笑顔のまま、良くわからない事を言い出した。
「実はね…女神様が君みたいな人は嫌いなんだって!」
「俺を…殺す気……なのか?」
相当ヤバイ状況にいる事を俺は自覚したが…既に遅かった。
「私もやり直しは飽きたし、アナタが居なければもっと上手く事は運ぶかもしれないの……。」
(何……を言って……。)
「た…たすけ……」
「だ・か・らぁ……。」
ニタリと笑った後、突然目の前から少女の姿が消失する。
(消えた…? いったいどこ…)
「死んでね?」
俺の耳元で小さな囁きが…清涼な声でやけに強く響き渡る。
驚いて振り返ろうとするが……。
突然、地面が自ら動いているように迫り来る。
顔面が叩きつけられ…強い衝撃の後グルグルと世界が回り……。
(なんで…俺の体がそこにあるんだ?)
俺は自分の体を地面から見上げるような恰好になっていた。
「お掃除完了! 良い仕事したなぁ。」
「…ぇ…ぇ……。」
「あれ? まだ生きてるの?」
(なんで声が……生きてるってどうゆう事だ?)
俺は…何故か全く声を出せなかった。
「もしかして自分が死んでる事に気付いてないの?」
不思議そうな顔で俺を見る少女。
(死ん……だ……?)
「面白ーい!! 活け造りのお魚みたいだね!?」
俺が最後に見た光景は…少女の花が咲いたようなとびきり…笑顔だ……た……。
「あー楽しかった!」
少女は男の死体に未知の液体を振りかけた。
「今日の一言! バカは死んでも気付かない!!」
すると、最初から何もなかったかのように男の体が消失する。
「この人は…過去、現在、未来、全ての時間軸において存在し得ない人物になっちゃった。」
これでもうあの三人を邪魔する人は居なくなったなぁ…。
少女はそう呟き…。
「あれ?」
「もしかして貴方…………今の見ちゃった?」
「画面の向こうに居るよね……。」
「見てるんでしょ? スマホ? タブレット? それともPC?」
「貴方は……死んでる事に気付くかなぁ…………?」
タイトルでも申し上げましたが、心臓の弱い方は閲覧注意です。心臓が並の人は平気だと思いますが、念の為お昼 に読んで下さい。ホラーが大好きな方にはちょっと物足りないかもしれません。
俺はあれから慧と会えていない。共通の知人に聞いてみるが、嫌な顔をするだけで誰も教えてはくれなかった。
(あの噂のせいで…! 恵奈の奴…今度会ったら、ただじゃおかねえ!!)
今、慧のアパートまで来ている。
これが何回目なのか…彼女に会おうと何度訪ねてみても、呼び鈴の音が反応するだけで慧が部屋から出てくる事はなかった。
(今日も留守か…。もしや…引っ越したのか…?)
何の手掛かりも得る事は出来ず、俺は慧の住むアパートを後にした。
(慧が何より大切だったはずなのに…いつの間にか忘れていた。失ってから気付くなんてな……。)
沈んだ気持ちで薄暗い路地裏を歩く。慧のアパートから帰る時はいつもこの道を通るのだ。
「こんばんは!」
背後から声を掛けられる。
突然の事に驚き振り向くと、魔法少女のコスプレをした女の子が立っていた。
彼女はとても愛らしく、その独特な魅力に惹かれそうになるが俺の勘が待ったをかける。
(今の今まで人の気配なんてまるで感じなかったのに……。)
「慧ちゃんの幼馴染だよね?」
(慧…だと…?)
「慧を知ってるのか? 教えてくれ! 彼女は今どこにいるんだっ!?」
「そんな事知ってどうするの?」
「会いに行くに決まってる!」
彼女の手掛かりをようやく掴んだのだ。俺は居ても立っても居られなくなり、その少女を問い詰める。
「ダメだよ。個人情報保護ってやつだね!」
「くそっ!」
(周りには誰もいない…それならっ!)
周囲を見回し人がいない事を確認する。
「良いのか? 今ここには俺とお前しかいないんだぜ?」
俺は少女に凄んでみせる。こうして脅しつけてやれば素直に話すと思ったのだ。
しかし……。
「それで?」
少女はどこ吹く風といった様子で、笑顔を崩さない。まるで親しい友人と会話しているかの如く、俺の脅しなど気にもとめていない。
「…お前が今襲われても誰も助けちゃくれない。」
フフッと笑い、平然と距離を詰めて来る少女。
「そうは言うけどさ……。それはアナタにも同じ事が言えるよね?」
その態度が気に入らず俺は少女に掴み掛かろうと腕を振り上げ……。
ボタっ
(腕が上がらねえ……。それになんの音だ…?)
音の発生源を確認すると、腕に感じた違和感の正体がそこにはあった。
俺の腕が地面に転がっていたのだ。
(なん…で……?)
全く痛みを感じなかった。何故俺の腕が地面にあるのかも分からない。
(コイツは何だ……?)
少女に対する恐怖が沸き上がって来る。
「待て! 待ってくれ! 俺に何をした!?」
少女は笑顔を浮かべるだけで、俺の質問には答えない。
「助けてくれ! なっ? なっ? お、お前も捕まるのは嫌だろ?」
俺の命乞いは全く無価値なのか…少女は笑顔のまま、良くわからない事を言い出した。
「実はね…女神様が君みたいな人は嫌いなんだって!」
「俺を…殺す気……なのか?」
相当ヤバイ状況にいる事を俺は自覚したが…既に遅かった。
「私もやり直しは飽きたし、アナタが居なければもっと上手く事は運ぶかもしれないの……。」
(何……を言って……。)
「た…たすけ……」
「だ・か・らぁ……。」
ニタリと笑った後、突然目の前から少女の姿が消失する。
(消えた…? いったいどこ…)
「死んでね?」
俺の耳元で小さな囁きが…清涼な声でやけに強く響き渡る。
驚いて振り返ろうとするが……。
突然、地面が自ら動いているように迫り来る。
顔面が叩きつけられ…強い衝撃の後グルグルと世界が回り……。
(なんで…俺の体がそこにあるんだ?)
俺は自分の体を地面から見上げるような恰好になっていた。
「お掃除完了! 良い仕事したなぁ。」
「…ぇ…ぇ……。」
「あれ? まだ生きてるの?」
(なんで声が……生きてるってどうゆう事だ?)
俺は…何故か全く声を出せなかった。
「もしかして自分が死んでる事に気付いてないの?」
不思議そうな顔で俺を見る少女。
(死ん……だ……?)
「面白ーい!! 活け造りのお魚みたいだね!?」
俺が最後に見た光景は…少女の花が咲いたようなとびきり…笑顔だ……た……。
「あー楽しかった!」
少女は男の死体に未知の液体を振りかけた。
「今日の一言! バカは死んでも気付かない!!」
すると、最初から何もなかったかのように男の体が消失する。
「この人は…過去、現在、未来、全ての時間軸において存在し得ない人物になっちゃった。」
これでもうあの三人を邪魔する人は居なくなったなぁ…。
少女はそう呟き…。
「あれ?」
「もしかして貴方…………今の見ちゃった?」
「画面の向こうに居るよね……。」
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「貴方は……死んでる事に気付くかなぁ…………?」
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