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第6章383話:勝利

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気絶したヒズナル。

ベアール将軍が、ヒズナルの首を切り落とした。

「これで……終わりだ」

とベアール将軍が静かに告げた。

あっけない幕切まくぎれだった。

でも、ようやくこれで終わりか。

私はホッと息をつく。

そのときだった。

「貴様……!」

アレックスがベアール将軍をにらんで、叫んだ。

「私が人質に取られていたのだぞ!? それなのに無遠慮ぶえんりょに攻撃を仕掛けるとは! もし私がヒズナルに殺されていたら、どう責任を取るつもり―――――」

「黙れ」

とベアール将軍が、アレックスにぴしゃりと告げた。

ベアール将軍の迫力に、アレックスがひるむ。

「話は聞いたぞ。貴様、ネキアを崖から突き落としたそうだな?」

そうベアール将軍がにらむと、アレックスは冷や汗を浮かべて反論した。

「……! あ、あれは王族を監視する、不届者ふとどきものゆえ、私が罰を与えたのだ!」

「ふざけた戯言ざれごとを抜かすな!!」

ベアール将軍が激怒する。

空気がひりつくような、恐ろしい迫力だ。

さすがにアレックスも震える。

ベアール将軍が冷たく言った。

「ネキアの件に関しては、軍法会議ぐんぽうかいぎにかけさせてもらう」

「なっ……王族である私を、処罰するつもりか!?」

「処罰するかどうかも含めて、軍法会議で審査してもらおう。しかし……ネキアを突き落としたこと、タダで済まされると思うなよ? 私はお前を許さない」

とベアール将軍が告げて、きびすを返した。

アレックスは納得いかないような顔をしていたが……

激情するベアール将軍に突っかかる勇気はないのか、沈黙していた。

ベアール将軍は私に言ってきた。

「ルチル様。これにて、ヒズナル軍との戦争は終わりです。このいくさは……我々の勝利です」

「ええ。ヒズナルを討ったことを、すぐに全軍ぜんぐん通達つうたつしましょう」

私はそう返事をした。






かくして。

ナナバール将軍・ヒズナル将軍の両名りょうめいの戦死により……

フロヴィッツ峡谷の戦いは、クランネル軍の勝利にて決着する。

ヒズナル軍との戦争が、ようやく幕を閉じたわけだ。

私たちは、父ルーガに任されたフロヴィッツとりで防衛ぼうえいの任務を、無事に完遂かんすい

これをきっかけに、クランネルとジルフィンドの戦争は、一気に終戦しゅうせんへと加速していくことになった。

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