グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します!―

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第6章363話:移動開始

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その後。

私は、まずシャルティアさんとホーヴァンさんのもとへ向かった。

どちらの隊も、やはりジルフィンド将軍からの攻撃を受けていた。

特にホーヴァンさんの隊は壊滅かいめつしかかっていた。

しかし、シャルティアさんとホーヴァンさんの救出は無事に叶い、魔法銃撃隊は合流することができた。





ホーヴァンさんは謝罪する。

「すみません……自分が不甲斐ふがいないばかりに、大勢の仲間を死なせてしまいました」

ホーヴァンさんは沈痛ちんつう面持おももちを浮かべた。

私は答える。

「いいえ。将軍の襲撃を受けていたのですから、仕方ありませんわ」

ホーヴァンさんが大きな被害を受けたのも仕方ない。

私だって今日、たまたま調子が良かったからキルヴィル・ゴルベール・オリビア・ガゼルの四人を蹴散らすことができただけで。

もし不調だったら……苦戦を強いられていたに違いない。

そう思うと、

『魔法銃撃隊にジルフィンド将軍を差し向ける』

……というナナバールの作戦は、極めて脅威だったと、改めて感じる。

私たちは、なんとか将軍たちを返り討ちにできたが、状況によっては、魔法銃撃隊が全滅している可能性もあっただろう。

(……でも、私の勝ちだ)

ジルフィンドの軍団を指揮する将軍は、全て死んだ。

残っているのは総指揮官であるナナバール将軍とヒズナル将軍だけ。

もはやこの戦争は、勝利したも同然だ。

「ルチル様、これからどうされますか?」

とシャルティアさんが尋ねてきた。

「行かなければならない場所がありますの」

「……? それは、どこでしょう?」

「ブレコウォールのすぐ手前ですわ」

ブレコウォール。

高さ300メートルの崖。

ナナバールが、源義経みなもとのよしつねのごとく、その崖を駆け下りて攻めてくる。

おそらく、ナナバールがその作戦を決行するのは、そろそろだろう。

だから私たちは、ブレコウォールの手前てまえせをしておくべきだ。

「負傷した兵士は本陣へ戻ってください。動ける兵士だけで、いきますわよ」

「はっ!」

私たちは、ナナバールが奇襲を仕掛けるであろう地点へと、移動を開始した。
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