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第6章272話:引き受ける
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「ル、ルーガ様……」
と、アリアが口を挟んだ。
「さすがにルチル様に、いきなり副司令を命じられるのは、その……」
「時期尚早だと思うか?」
「……はい」
と、アリアが答える。
父上は言った。
「私はそう思わん。ルチルは未来の王族だ。ならば、一軍の将として、部下を率いるリーダーシップも持つべきだろう」
この異世界では、王族とは後ろでふんぞり返っている者ではない。
なぜなら、武力こそ正義の世界だからだ。
強い者が生き残り、君臨する世界。
ゆえに軍事において結果を残すことは、王族にとって非常に重要である。
副司令官ともなると、死ぬかもしれない前線で指示を飛ばすことが求められるが……
そこで本当に死ぬようなら、その程度の将器だったと思われるだけだ。
ちなみに、現女王ミジェラも、かつて最前線で指揮を執り、自らの手で敵将すら討ち取った功績を持っている。
(まあ未来の王族といっても、私はアレックスの王妃になるつもりはないんだけどね)
だから、本当なら戦争での実績なんて要らない。
しかし、私がアレックスとの婚約破棄を目論んでいるとは、誰も知らない。
現時点においては、次期王妃たる実績を積んでおかなければならないだろう。
「承知いたしました」
と、私は答える。
「副司令の座、慎んで拝命させていただきますわ」
「うむ!」
と、父上は嬉しそうに微笑んだ。
と、アリアが口を挟んだ。
「さすがにルチル様に、いきなり副司令を命じられるのは、その……」
「時期尚早だと思うか?」
「……はい」
と、アリアが答える。
父上は言った。
「私はそう思わん。ルチルは未来の王族だ。ならば、一軍の将として、部下を率いるリーダーシップも持つべきだろう」
この異世界では、王族とは後ろでふんぞり返っている者ではない。
なぜなら、武力こそ正義の世界だからだ。
強い者が生き残り、君臨する世界。
ゆえに軍事において結果を残すことは、王族にとって非常に重要である。
副司令官ともなると、死ぬかもしれない前線で指示を飛ばすことが求められるが……
そこで本当に死ぬようなら、その程度の将器だったと思われるだけだ。
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だから、本当なら戦争での実績なんて要らない。
しかし、私がアレックスとの婚約破棄を目論んでいるとは、誰も知らない。
現時点においては、次期王妃たる実績を積んでおかなければならないだろう。
「承知いたしました」
と、私は答える。
「副司令の座、慎んで拝命させていただきますわ」
「うむ!」
と、父上は嬉しそうに微笑んだ。
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