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第5章255話:レオン視点2

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<レオン視点・続き>

翌日。

フローウルフの素材が入った布袋を持って、王都への道のりを歩く。

歩く。

歩く。

歩く。

そして、夜をとばりが降り始めたころ。

ようやく王都に帰りついた。

正門を通って王都に入る。

そのまま冒険者ギルドへ。

素材を売り払って換金。

フローウルフは良い金になった。

その資金を持って、街を歩く。

このまま下宿先のアパートメントに帰ってもよかったが……

なんとなく街をぶらつきたくて、王都の路上を歩いた。

王都は夜でもにぎやかだ。

あちこちで酒場さかばが営業していて、仕事終わりの客が出入りしている。

そんな夜の喧騒けんそうを眺めながら、なんとはなしに歩いていると……

ふと話しかけてくる者がいた。

「お兄さん! よければ焼き鳥を食べていきませんか?」

居酒屋の呼び込み店員だった。

手には皿に乗せた焼き鳥を持っている。

レオンはそっけなく返事した。

「気分じゃない」

「まあまあそう言わずに! うちの焼き鳥は、他とはレベルが違いますよー!」

ちっ、とレオンは舌打ちした。

そんな呼び込み、どこの店もやっているだろうに。

「炭火焼という手法を使っておりましてー! まあ、騙されたと思って、一本試食していってください! 無料ですから」

「……? タダなのか?」

「はい。試食サービスですからね!」

……試食サービス。

はじめて聞いたな。

「誰にでもタダで売ってるってことか? それだと儲けが出ないだろ」

「試食で興味を持ってもらえれば、結果的に売れますから。それぐらい自信がある焼き鳥なんですよー!」

「……」

よほど自信があるようだ。

……まあ、タダなら一本ぐらい、食べてもいいか。

女性店員の持っていた焼き鳥を、一本、手に取る。

それを無造作に口に運んだ。

そして、驚愕する。

「なっ……」

なんだ、これ?

美味い。

いや、美味いなんてものじゃない。

美味すぎて、あっという間に一本食べ切ってしまう。

女性店員は不敵に笑った。

「ふふ、美味しいでしょう? 私もはじめて食べたとき、びっくりしましたから」

悔しいが、この店員の言う通りだ。

正直、驚いた。

なるほど自信をもって勧めてくるわけだ。

「続きは居酒屋でどうぞ。焼き鳥もそうですが、ビールも美味しいですよ!」

ビール?

聞き慣れない言葉だ。

とりあえず、この焼き鳥は一本では足りない。

もっと食べたい。

そう思い、その居酒屋――――【炭火とビール亭】に入ってみることにした。
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