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第5章253話:兵隊10

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一方、前の人がボルダリングを昇るまでのあいだ。

後ろの人は空気椅子の状態で待機しなくてはいけない。

しかし、膝をしっかり曲げていない兵士も多い。

私は叱った。

「そこの3人。もっと膝を曲げて、腰を落としなさい」

「「「は、はい!」」」

「空気椅子の膝角度は90度を守りなさい。きつくなってきたからといって、ラクな姿勢は取らないこと。ラクをしたら意味がありませんもの」

人間は、本能的にラクな姿勢を取りたくなるものだ。

しかし、苦しくても正しいフォームを維持することで、筋肉は鍛えられる。

「あ、あぁ……ッ」

と、空気椅子に耐えられずに膝を伸ばしたりする者がいた。

シャルティアさんが叱る。

「おい、膝を伸ばすな! 90度の角度を守れといわれただろう!?」

「は、はい……! く、あああぁっ!」

「うるさい! いちいち叫ぶなッ! そして腰をもっと下げろ」

と、怒鳴り散らす。

壮絶である。

半泣きになっている者もいた。

だが、これが軍隊というものだ。









ゼエゼエ言いながら、兵士たちはなんとか、残り2周をおこなう。

最後のほうは、もう、やけくそのズタボロになりながら、アスレチックをこなしていた。

「みなさん、お疲れ様。本日の訓練は、これで終了ですわ」

すっかり疲弊しきった兵士たちに、私は告げる。

かくして。

1日のトレーニングが終了した。

アスレチック訓練を終えた兵士たちは、精根尽き果てた様子だった。

「このあと夕飯を召し上がっていただきますわ。疲れ果てて喉を通らない人がいても、無理にでも食べてもらいます。食べることも訓練ですからね」

と、告げておく。

あとはシャルティアさんたちに任せて、私は帰宅することにした。
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