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第5章249話:兵隊6

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<他者視点>

ルチル隊の副隊長に任じられたシャルティア。

同じく、隊長補佐官に任じられたホーヴァン。

現在、二人は、ルチルから魔法銃を渡され……

兵士に混じって銃撃の訓練をやらされていた。

『的』は、ルチルが用意した大きなミスリル塊である。

3メートルの高さがあるミスリルの岩塊。

岩塊には20センチほどの『円』のマークが描かれており、その円の中心を狙って、銃撃する訓練だ。

「……」

副隊長シャルティアは、魔法銃を構える。

的に向かって、撃つ。

ズバァンッ!

『円』の内側が削れる。

射撃成功だ。

「このような武器が……」

と、副隊長シャルティアは、驚きを隠せない。

弾丸の速度は弓矢よりすさまじく。

威力はミスリルの表面を削れる程度には強い。

しかも連射も可能である。

革新的だ、とシャルティアは思った。

シャルティアの隣で、隊長補佐官であるホーヴァンも、感心している。

「即座に5発以上撃てる連射性能と、弾丸の速度。ミスリルにすら傷を負わせる攻撃力……素晴らしい」

ホーヴァンは、言った。

「この武器が実戦配備されたら、戦争が変わりますよ」

「そうだな」

と、シャルティアは同意した。

新兵たちと違って、シャルティアとホーヴァンには戦争の経験がある。

ゆえに、魔法銃の計り知れない可能性を感じていた。

シャルティアは言う。

「相手の間合いの外から撃ち放題であるし、弾が速いので不意打ちにも極めて有効だ。それに――――」

シャルティアは、銃を練習をする新兵たちに視線をやる。

「新兵ですら、撃つのが難しくない。弓を覚えるには5年はかかるが、この魔法銃はたぶん、そんなにかからない」

山なりの軌道で飛んでいく矢と違い、銃弾の軌道は直線的。

初心者でもかなり扱いやすい武器だ。

これは、本当に恐ろしい話である。

少し練習するだけで、誰でも強力な遠距離攻撃を可能にできる、新型武器。

もし、そんなものが大量生産されたら……

戦争がどう変わってしまうのか、シャルティアは想像し、身震いした。

(錬金術の天才とも呼び声の高い、ルチル・ミアストーン隊長。錬金術なんて、ポーションづくりにしか役に立たないと思っていたが……)

シャルティアは、自身の認識を改める。

たいていの錬金術師は、ポーションや解毒剤を作る薬師に過ぎない。

しかし、ルチルは違うのだ。

己の才能だけで、既存の常識を変えてしまう……稀代の発明家。

だから天才と謳われるのだと、シャルティアは理解した。

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