231 / 517
第4章232話:運命
しおりを挟む
ルビーロッドは語った。
「こちら側につけ……と、殿下に言われたのじゃ」
一瞬、ぽかんとする。
頭をめぐらせ、言葉の意味を理解しようと務める。
私は確認した。
「ええと、それはつまり、私と敵対するように勧誘されたと?」
「ああ、一言でいえばそういうことじゃ。なにやら殿下は、反ルチル同盟を築く……みたいな感じじゃったぞ」
ルビーロッドの言葉に、私は失笑する。
「それはそれは。滑稽なことをはじめたものですわね」
「うむ。……まあ、勧誘は上手くいっていないようじゃったがな」
当然だ。
反ルチル同盟とやらを築くにしても、タイミングが悪すぎる。
これだけ学内でアレックスたちの不評が広がっているのだ。
上手くいくわけがない。
学内にだって、私やミアストーン家に反発する勢力ぐらいは存在するだろうが……
現在のアレックスと手を組もうとは思わないだろう。
まあ、アレックスはアホだから、そういう空気は読めないんだろうけどさ。
「わらわは、おぬしとアレックスが好き合っていると思っていたが……どうやらそういうわけではないようじゃな」
「さて、それはどうでしょうね?」
と、言っておく。
もちろんアレックスのことは嫌いだが……
はっきり嫌いだと明言するのはまずい。
最終的には『アレックスを愛するルチルが、アレックスにこっぴどくフラれ、そのショックで生涯独身を決意する』というストーリーに持っていかなきゃいけないからね。
そのゴールのためには、表向きアレックスを愛しているフリをしておかなければいけないだろう。
「……おぬしにアレックスへの愛がないことぐらい、容易にわかる」
と、ルビーロッドは言った。
「まあ、あんな男と結婚する羽目になった自分の運命を恨め。わらわは、高みの見物をしながら笑うだけじゃ」
ルビーロッドはニヤニヤと楽しそうにいってくる。
大丈夫。
私は私の運命を、必ず変える……!
時間はかかるかもしれないけどね。
―――第4章 完
「こちら側につけ……と、殿下に言われたのじゃ」
一瞬、ぽかんとする。
頭をめぐらせ、言葉の意味を理解しようと務める。
私は確認した。
「ええと、それはつまり、私と敵対するように勧誘されたと?」
「ああ、一言でいえばそういうことじゃ。なにやら殿下は、反ルチル同盟を築く……みたいな感じじゃったぞ」
ルビーロッドの言葉に、私は失笑する。
「それはそれは。滑稽なことをはじめたものですわね」
「うむ。……まあ、勧誘は上手くいっていないようじゃったがな」
当然だ。
反ルチル同盟とやらを築くにしても、タイミングが悪すぎる。
これだけ学内でアレックスたちの不評が広がっているのだ。
上手くいくわけがない。
学内にだって、私やミアストーン家に反発する勢力ぐらいは存在するだろうが……
現在のアレックスと手を組もうとは思わないだろう。
まあ、アレックスはアホだから、そういう空気は読めないんだろうけどさ。
「わらわは、おぬしとアレックスが好き合っていると思っていたが……どうやらそういうわけではないようじゃな」
「さて、それはどうでしょうね?」
と、言っておく。
もちろんアレックスのことは嫌いだが……
はっきり嫌いだと明言するのはまずい。
最終的には『アレックスを愛するルチルが、アレックスにこっぴどくフラれ、そのショックで生涯独身を決意する』というストーリーに持っていかなきゃいけないからね。
そのゴールのためには、表向きアレックスを愛しているフリをしておかなければいけないだろう。
「……おぬしにアレックスへの愛がないことぐらい、容易にわかる」
と、ルビーロッドは言った。
「まあ、あんな男と結婚する羽目になった自分の運命を恨め。わらわは、高みの見物をしながら笑うだけじゃ」
ルビーロッドはニヤニヤと楽しそうにいってくる。
大丈夫。
私は私の運命を、必ず変える……!
時間はかかるかもしれないけどね。
―――第4章 完
160
お気に入りに追加
3,360
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された上に国外追放された聖女はチート級冒険者として生きていきます~私を追放した王国が大変なことになっている?へぇ、そうですか~
夏芽空
ファンタジー
無茶な仕事量を押し付けられる日々に、聖女マリアはすっかり嫌気が指していた。
「聖女なんてやってられないわよ!」
勢いで聖女の杖を叩きつけるが、跳ね返ってきた杖の先端がマリアの顎にクリーンヒット。
そのまま意識を失う。
意識を失ったマリアは、暗闇の中で前世の記憶を思い出した。
そのことがきっかけで、マリアは強い相手との戦いを望むようになる。
そしてさらには、チート級の力を手に入れる。
目を覚ましたマリアは、婚約者である第一王子から婚約破棄&国外追放を命じられた。
その言葉に、マリアは大歓喜。
(国外追放されれば、聖女という辛いだけの役目から解放されるわ!)
そんな訳で、大はしゃぎで国を出ていくのだった。
外の世界で冒険者という存在を知ったマリアは、『強い相手と戦いたい』という前世の自分の願いを叶えるべく自らも冒険者となり、チート級の力を使って、順調にのし上がっていく。
一方、マリアを追放した王国は、その軽率な行いのせいで異常事態が発生していた……。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜
青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ
孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。
そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。
これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。
小説家になろう様からの転載です!

コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。
あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」
長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。
だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。
困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。
長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。
それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。
その活躍は、まさに万能!
死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。
一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。
大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。
その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。
かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。
目次
連載中 全21話
2021年2月17日 23:39 更新

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる