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第4章226話:決着

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「まだァ!!」

と、ゼリスがやけくそ気味に斬りかかってくる。

「ふっ!!」

最後に、トドメの一撃を放つ。

その一撃が、ゼリスの木剣を跳ね飛ばした。

「あっ!!?」

木剣を失ったゼリスが、途方に暮れる。

私は、その首筋に向けて、木剣を突きつける。

「もう十分でしょう」

「……っ」

ゼリスは、その場にくずおれた。

力なく座り込む。

私は審判に視線を送った。

「審判」

「は、はい! 決闘は、ルチル・ミアストーンの勝利です!」

審判が宣言する。

観客たちが一斉に拍手をした。

ついでにゼリスに対するヤジが飛ぶ。




「当たり前だー!」

「ゼリス弱すぎ」

「身の程をわきまえろよ、子爵令嬢!」

「剣術もそうですが、まず礼儀というものから学びなおしたらどうですか?」

「二度と言いがかりつけんなよ、ワガママ女!」

「きゃー! ルチル様ー! 素敵ですー!!」




それらの声が、ゼリスに届いているのか、いないのか。

ゼリスはただ、悔しそうにうつむいている。

……と。

そのときだった。

「観客はいい加減にしろ!」

怒号が飛んだ。

聞き覚えのある声である。

声の主が、闘技場の入場口にゅうじょうぐちから現れる。

アレックスだった。
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