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第4章205話:マキ

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「まあ、しばらくは様子見でいいかな」

と、ぽつりつぶやいた。

しかし。

3日後。

ティールーム。

私とマキとフランカでテーブルについて、お茶を始めようとしたとき。

マキが、

「ルチル様、折り入って、お耳に入れておきたいことがございます」

と、前置きしたうえで、切り出してきた。

「アレックス王子の噂については、ご存知でしょうか?」

「ええ。存じていますわよ」

私は答える。

フランカは確認してきた。

「……それって、殿下が子爵令嬢と懇意になされているという噂でしょうか?」

「はい」

と、マキが肯定した。

さらに、マキは言ってくる。

「どうやらその噂……ただの噂ではなく、真実のようです。殿下は、子爵令嬢ゼリスと交際をしていると」

「そうみたいですわね」

「……ルチル様は、お二人のことをどう思っておられるのですか? さすがに今回のことは、殿下の所業といえど、見過ごしていいものではないと思いますが」

見過ごしていいものではない、か。

マキの視点から見れば、そう思うだろうね。

なにしろ、マキは、私と王子の婚約を、普通に祝福している。

私が内心、王子と破局したいなどと思っているとは、想像だにしていないのだ。

「ただの"遊び"でしょう? 放っておけばよろしいですわ」

私は答えた。

「ですが……」

と、マキは不安げな声をもらす。

「いずれ王子も、自分の過《あやま》ちに気づく日が来ますわよ」

と、私は伝えておいた。

まあ、そんな日は来ないだろうけどね……と、内心では思いながら、お茶を飲む。

「……」

そんな私の横で、やはりマキは不安そうな顔をしていた。

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