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第3章199話:アレックス視点2
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大きなため息を吐く。
と。
そのときだった。
「殿下……?」
「ん……」
顔を上げる。
一人の女が立っていた。
貴族令嬢らしきいでたち。
青色の巻き髪。
黄色い瞳。
面識はない。
が、おそらく子爵か伯爵あたりの令嬢だろう……とアタリをつけた。
アレックスは尋ねた。
「なんだ?」
「いえ……殿下が、ため息をおつきになっておられましたので。何か悩み事がおありでしょうか」
「悩み事があったらなんだというんだ。だいたい、どこの貴族令嬢だ、お前は?」
「申し遅れました。私は、ゼリス・キネットと申します。キネット子爵家の長女でございます」
「子爵家ごときの女が、私に声をかけるなど、無礼ではないか?」
「申し訳ありません。ですが……殿下のことが心配で。悩み事がおありならば、私に、お話になってくださいませんか? 人に話すだけでも、お心が晴れるかもしれませんし」
「何……?」
アレックスは警戒した。
このゼリスという女は、どうせ王族である自分と友誼を持ちたいだけだろう。
あさましい。
怒鳴りつけて、追い返してやろうかと思った。
と。
そのときだった。
「殿下……?」
「ん……」
顔を上げる。
一人の女が立っていた。
貴族令嬢らしきいでたち。
青色の巻き髪。
黄色い瞳。
面識はない。
が、おそらく子爵か伯爵あたりの令嬢だろう……とアタリをつけた。
アレックスは尋ねた。
「なんだ?」
「いえ……殿下が、ため息をおつきになっておられましたので。何か悩み事がおありでしょうか」
「悩み事があったらなんだというんだ。だいたい、どこの貴族令嬢だ、お前は?」
「申し遅れました。私は、ゼリス・キネットと申します。キネット子爵家の長女でございます」
「子爵家ごときの女が、私に声をかけるなど、無礼ではないか?」
「申し訳ありません。ですが……殿下のことが心配で。悩み事がおありならば、私に、お話になってくださいませんか? 人に話すだけでも、お心が晴れるかもしれませんし」
「何……?」
アレックスは警戒した。
このゼリスという女は、どうせ王族である自分と友誼を持ちたいだけだろう。
あさましい。
怒鳴りつけて、追い返してやろうかと思った。
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