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第3章171話:個室

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受付嬢によると、現在、ティールームはそこそこ部屋が空いているようだ。

前年度ぜんねんどに20回生の学生が卒業していったので、そのぶんの部屋が空いたわけだ。

3階の部屋が2つ空いていた。

そのうちの1つを確保することにした。

「わたくしは3階の部屋を購入したいと思いますわ」

「私は2階の部屋を」

マキがそう述べる。

「では……私も2階で」

フランカも部屋を決める。

お金を払い、部屋の利用許可証と鍵を受け取る。

一度部屋を確認してみようと、上階じょうかいへの階段を昇る。

その途中、フランカは不満げに言った。

「上級食堂200万ディリンに続き、ティールームが500万ディリン……この大学、お金がかかりすぎませんか?」

「貴族ですから、仕方ありませんわね」

上級食堂を利用したり、ティールームを利用することは、貴族の特権ではあるが、義務でもある。

貴族は見栄を張る生き物だ。

自分の名誉も気にするし、他人の名誉も気にする。

たとえば貴族なのに一般食堂を利用するとか、

たとえば貴族なのにティールームを持たないとか、

そういうのは必ず嘲笑の対象になる。

だからこそ、イヤでもお金を払って「見栄を買う」のだ。

貴族社会は面倒くさいのである。
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