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第2章83話:専属騎士
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私が尋ねると、エドゥアルトが突然、片膝をついた。
まるで臣従の意を示すポーズだ。
そして彼は意を決したように言った。
「私を……あなたの騎士にしていただけませんか?」
「……!?」
一瞬、ぽかんとしてしまう。
な、何を言い出すんだ。この人は。
エドゥアルトは言う。
「ルチル様は、公爵令嬢としてだけでなく、一人の人間として心から尊敬すべきお方です」
さらに、エドゥアルトは続けた。
「最上級ポーションを生成するなど、まさに精霊の御業。そしてそれを、惜しげもなく民に振舞われる聖母のごとき慈愛。私は……心より感服致しました。ですから、わが忠誠をあなたに捧げたく思ったのです!」
「いや、あの、ちょっと……」
「この身命を賭してあなたをお守りすると誓います。ですからどうか、お願いします! 私を、あなたの専属の騎士にしてください!」
エドゥアルトがこうべを垂れた。
冗談で言っているわけではないのだと、すぐにわかった。
――――専属の騎士になる。
それは、この世界では大変な意味を持つ。
なぜなら、騎士の誓いを立てた相手には、己の全てを捧げなければならないからだ。
自分の命を主のために使う。
いざというときには命を賭けて主を守る。
未来の可能性も、主のために捧げる。
理不尽な命令でも遂行する。
決して主を裏切らない。
他の主を作らない。
騎士団よりも個人を優先するため、騎士団も退団することになる。
……以上の多くが法的に定められているため、破れば死罪も覚悟しなくてはいけない。
大変な誓いなのである。
だから軽々しく、騎士の誓いなどを立ててはいけない。
この人のためなら死すらもいとわない……
そう心の底から思える相手でないと、後悔することになる。
エドゥアルトは、私のことをそのような対象だと認定してくれたのだ。
その気持ち自体は嬉しい。
ただ……
(ゲーム的に大丈夫なの、これ?)
まるで臣従の意を示すポーズだ。
そして彼は意を決したように言った。
「私を……あなたの騎士にしていただけませんか?」
「……!?」
一瞬、ぽかんとしてしまう。
な、何を言い出すんだ。この人は。
エドゥアルトは言う。
「ルチル様は、公爵令嬢としてだけでなく、一人の人間として心から尊敬すべきお方です」
さらに、エドゥアルトは続けた。
「最上級ポーションを生成するなど、まさに精霊の御業。そしてそれを、惜しげもなく民に振舞われる聖母のごとき慈愛。私は……心より感服致しました。ですから、わが忠誠をあなたに捧げたく思ったのです!」
「いや、あの、ちょっと……」
「この身命を賭してあなたをお守りすると誓います。ですからどうか、お願いします! 私を、あなたの専属の騎士にしてください!」
エドゥアルトがこうべを垂れた。
冗談で言っているわけではないのだと、すぐにわかった。
――――専属の騎士になる。
それは、この世界では大変な意味を持つ。
なぜなら、騎士の誓いを立てた相手には、己の全てを捧げなければならないからだ。
自分の命を主のために使う。
いざというときには命を賭けて主を守る。
未来の可能性も、主のために捧げる。
理不尽な命令でも遂行する。
決して主を裏切らない。
他の主を作らない。
騎士団よりも個人を優先するため、騎士団も退団することになる。
……以上の多くが法的に定められているため、破れば死罪も覚悟しなくてはいけない。
大変な誓いなのである。
だから軽々しく、騎士の誓いなどを立ててはいけない。
この人のためなら死すらもいとわない……
そう心の底から思える相手でないと、後悔することになる。
エドゥアルトは、私のことをそのような対象だと認定してくれたのだ。
その気持ち自体は嬉しい。
ただ……
(ゲーム的に大丈夫なの、これ?)
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