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第2章81話:聖女?
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エドゥアルトは少し残念そうな顔で言った。
「でも、それだと量産は難しそうですね。アレがたくさん作られれば、大勢の人が救われるでしょうに」
確かに量産は難しい。
厳密には無理ではないが、精霊の血を大量に用意しなくてはならない。
それはシエラ様をはじめとした精霊たちに、大変な負担を強いることになる。
そんなことは絶対に認めるわけにはいかない。
「ちなみに、二人にも言っておきますわ。私があのポーションを作ったことは、誰にも内緒にしてくださいね?」
私がそう言うと、エドゥアルトは不満げに言い返してきた。
「ど、どうしてでしょうか? たとえ何度も作れないポーションでも、一度でも生産に成功したのなら、その偉業は讃えられてしかるべきです。最上級ポーションを作ったことが事実だと認められれば、ルチル様は永劫の地位や名誉を約束されますよ? 聖女だと認定されるかもしれません」
「そういったものに興味はございませんわ。わたくし、仰々しく祀り上げられるより、平穏でいるほうが好きですもの」
聖女なんて地位を与えられても、いろいろ面倒そうだしね。
そんな私の言葉に、エドゥアルトは感動の声で言った。
「本当に、ただただ民を救うためだけに、最上級ポーションをお作りになったのですね……」
彼の声音には、深い尊敬の念が込められているように感じた。
「でも、それだと量産は難しそうですね。アレがたくさん作られれば、大勢の人が救われるでしょうに」
確かに量産は難しい。
厳密には無理ではないが、精霊の血を大量に用意しなくてはならない。
それはシエラ様をはじめとした精霊たちに、大変な負担を強いることになる。
そんなことは絶対に認めるわけにはいかない。
「ちなみに、二人にも言っておきますわ。私があのポーションを作ったことは、誰にも内緒にしてくださいね?」
私がそう言うと、エドゥアルトは不満げに言い返してきた。
「ど、どうしてでしょうか? たとえ何度も作れないポーションでも、一度でも生産に成功したのなら、その偉業は讃えられてしかるべきです。最上級ポーションを作ったことが事実だと認められれば、ルチル様は永劫の地位や名誉を約束されますよ? 聖女だと認定されるかもしれません」
「そういったものに興味はございませんわ。わたくし、仰々しく祀り上げられるより、平穏でいるほうが好きですもの」
聖女なんて地位を与えられても、いろいろ面倒そうだしね。
そんな私の言葉に、エドゥアルトは感動の声で言った。
「本当に、ただただ民を救うためだけに、最上級ポーションをお作りになったのですね……」
彼の声音には、深い尊敬の念が込められているように感じた。
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