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第2章76話:治癒
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私は告げた。
「これを娘さんに飲ませてあげなさい」
「あ、ああ……」
エリーシャ父に最上級ポーションを手渡す。
彼はおそるおそるポーションの瓶を開けると、それを倒れ伏すエリーシャさんに飲ませた。
すると―――
まるで神の加護に包まれたかのように、エリーシャさんの身体に金色の光が満ちる。
傷口が塞がっていく。
一瞬で、あっという間に。
数秒後。
気を失っていたエリーシャさんが目を覚ました。
「あれ……? 私……」
「おおっ! エリーシャ!!」
エリーシャさんが上体を起こす。
それをエリーシャ父が抱きしめた。
「良かった、本当に良かった! エリーシャ!!」
涙を流して娘の回復を喜ぶ父。
村人たちにも歓声とどよめきが広がっている。
「本当に治った!?」
「あんな怪我を治したというのか……」
「すごい」
口々に驚きと賞賛を口にする村人たち。
エドゥアルトたちも驚愕に目を見開いていた。
やがてフランカが興奮して言った。
「すごい……本当にすごいです! あんな重傷を治してしまわれるなんて……! ルチル様は天才です!」
エドゥアルトも信じがたいものを見たかのように言う。
「本物の最上級ポーション……奇跡だ……」
奇跡……か。
まあ、そうだろう。
精霊の血を使わなければいけないポーションなんて、気軽に作れるものではない。
後でこの二人と村人には、口止めしておこう。
完全な情報封鎖は無理でも、できる限りは……ね。
シエラ様のことを大っぴらにするわけにもいかないからね。
「これを娘さんに飲ませてあげなさい」
「あ、ああ……」
エリーシャ父に最上級ポーションを手渡す。
彼はおそるおそるポーションの瓶を開けると、それを倒れ伏すエリーシャさんに飲ませた。
すると―――
まるで神の加護に包まれたかのように、エリーシャさんの身体に金色の光が満ちる。
傷口が塞がっていく。
一瞬で、あっという間に。
数秒後。
気を失っていたエリーシャさんが目を覚ました。
「あれ……? 私……」
「おおっ! エリーシャ!!」
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それをエリーシャ父が抱きしめた。
「良かった、本当に良かった! エリーシャ!!」
涙を流して娘の回復を喜ぶ父。
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「本当に治った!?」
「あんな怪我を治したというのか……」
「すごい」
口々に驚きと賞賛を口にする村人たち。
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「すごい……本当にすごいです! あんな重傷を治してしまわれるなんて……! ルチル様は天才です!」
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「本物の最上級ポーション……奇跡だ……」
奇跡……か。
まあ、そうだろう。
精霊の血を使わなければいけないポーションなんて、気軽に作れるものではない。
後でこの二人と村人には、口止めしておこう。
完全な情報封鎖は無理でも、できる限りは……ね。
シエラ様のことを大っぴらにするわけにもいかないからね。
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