グラティールの公爵令嬢―ゲーム異世界に転生した私は、ゲーム知識と前世知識を使って無双します！―

第2章50話：たき火

薪まきを集めて火魔法で火をおこす。

日陰の闇を払うように、めらめらと焚き火が燃え始めた。

ホーンラビットの肉を木枝に刺して、火のそばに突き立てる。

そのあいだにやることは【塩づくり】だ。

この世界では塩や砂糖は無限に手に入る。

塩草しおくさ・砂糖草さとうくさと呼ばれる雑草がそこらへんに生えていて、これが塩・砂糖になるからだ。

今回は塩が欲しいので、塩草を集める。

さらに小鍋こなべの中に、水魔法で出した水を入れる。

そこに塩草を投下して、沸騰させると……

塩草からしみだした塩エキスが水に溶けて、食塩水の完成である。

（天然の塩水しおみずがいつでもどこでも手に入るって、凄い世界だよね）

と、私は思った。

さらに私はアイテムボックスの中から、事前に買っておいたパンや野菜を取り出す。

パンは軽めに焼き、野菜は小鍋に入れてスープを作る。

さて……

ホーンラビットの肉が焼けてきた。

さっそく、食べ始める。

フランカだけが食べはじめていなかった。

私の指示を待っているのだ。

貴族社会では、付き人は主よりも、先に食べはじめてはならないという掟おきてがある。

「フランカ。食べていいですわよ」

「はい。では―――」

私の許可を得て、フランカが食べ始める。

それを見たエドゥアルトが尋ねてきた。

「フランカ様とルチル様は、主従の関係なのですか？」