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第1章29話:部屋
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「さあ、中に入りましょう」
シエラ様が玄関に入っていく。
最初に礼拝堂がある。
礼拝堂の右奥の扉を開けると、中庭に出た。
芝生が敷きつめられた四角い中庭だ。
中庭を抜けて、扉をくぐると、廊下がある。
途中、正面から人が歩いてくる。
耳の長い種族……エルフだ。
シエラ様の使用人だろうか?
そのエルフは、シエラ様の姿を認めると、廊下のわきに退いて、深く辞儀をした。
うん……やはり使用人なんだろう。
精霊の世界にも使用人という制度があることに、私は意外に思った。
その廊下の途中にある扉を開けた。
「ここがあたしの部屋よ」
そこは貴族の寝室のような部屋だった。
私は率直な感想を述べた。
「素敵ですね」
「そうでしょう?」
「使用人と一緒に暮らしてるんですね」
「ええ、そうよ」
答えつつ、シエラ様は、テーブルにあった鍵を手に取った。
「これをあなたに譲るわ」
「鍵……ですか」
「そう。あなたに錬金術用のアトリエを譲ってあげようと思ってね」
「ええ!?」
「これは、そのアトリエを開ける鍵ね。あなたに渡しておくわ」
そう言ってシエラ様が鍵を手渡してきた。
「い、いいんですか。アトリエなんていただいても」
「もちろん。あたしはあなたをサポートするために契約したんだから……さあ、実際にアトリエを見に行きましょうか」
「はい!」
私は喜悦の声で答えた。
シエラ様が玄関に入っていく。
最初に礼拝堂がある。
礼拝堂の右奥の扉を開けると、中庭に出た。
芝生が敷きつめられた四角い中庭だ。
中庭を抜けて、扉をくぐると、廊下がある。
途中、正面から人が歩いてくる。
耳の長い種族……エルフだ。
シエラ様の使用人だろうか?
そのエルフは、シエラ様の姿を認めると、廊下のわきに退いて、深く辞儀をした。
うん……やはり使用人なんだろう。
精霊の世界にも使用人という制度があることに、私は意外に思った。
その廊下の途中にある扉を開けた。
「ここがあたしの部屋よ」
そこは貴族の寝室のような部屋だった。
私は率直な感想を述べた。
「素敵ですね」
「そうでしょう?」
「使用人と一緒に暮らしてるんですね」
「ええ、そうよ」
答えつつ、シエラ様は、テーブルにあった鍵を手に取った。
「これをあなたに譲るわ」
「鍵……ですか」
「そう。あなたに錬金術用のアトリエを譲ってあげようと思ってね」
「ええ!?」
「これは、そのアトリエを開ける鍵ね。あなたに渡しておくわ」
そう言ってシエラ様が鍵を手渡してきた。
「い、いいんですか。アトリエなんていただいても」
「もちろん。あたしはあなたをサポートするために契約したんだから……さあ、実際にアトリエを見に行きましょうか」
「はい!」
私は喜悦の声で答えた。
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