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第5章173話:赤のチョコレート
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夏の入り口の季節。
近くの泉で水泳の訓練をすることになった。
水泳は、いざというときに役に立つからだ。
ただ、一般的に、淡水には塩分が少ないので、浮力を得にくい。
ゆえに身体が沈みやすくて、泳ぎにくく、溺れやすいのだ。
だから、それを防ぐために【水泳魔法】を覚えた。
水泳魔法とは、水中での浮力確保をアシストしてくれる魔法である。
これで川だろうが湖だろうが海だろうが、どこでも泳ぐことができる。
まあ、水中に魔物がいるかもしれないので、迂闊には泳いじゃいけないらしいけどね。
さて――――
真夏。
昼。
寝室にて。
その日、私は、カカオマス、ホワイトチョコレートに次ぐ、新しいチョコレートを覚えた。
ストロベリーチョコレートである。
いちごのチョコ。
私にとって三種類目のチョコレートだ。
(これ……いったいどれぐらいの種類があるんだろう?)
そんな疑問を覚える。
チョコレート魔法については、だいぶわかってきたけど……
まだまだ、未解明の部分は多い。
最終的には、私が食べてきた全種類のチョコレートが網羅されるのだろうか?
まあ、いい。
とにかく、ストロベリーチョコレートを覚えたのだ。
なんといってもストロベリーチョコの魅力は、酸味だろう。
異世界に来てから長らく、ビターなカカオマス、あまやかなホワイトチョコばかり食べてきたが……
甘酸っぱさ担当のストロベリーが加わるだけで、チョコレートの世界観は一気に広がりを見せることは間違いない。
たとえば、
カカオチョコレート、
ホワイトチョコレート、
ストロベリーチョコレートを、
順番に、一つずつ、
「もぐもぐ」
と、食べてみると……
「ん~、幸せ!!」
となる。
まあ、当然だね。
「お姉ちゃん」
と、そのとき、寝室にやってきたアイリスが言ってきた。
「目の色、変わってるよ?」
「え?」
「赤くなってる」
とアイリスが指摘してくる。
充血している、と言いたいのだろうと思った私は、以下のように答えた。
「充血してる? まあ、放っておけば治りますよ」
「いや、充血じゃなくて」
とアイリスが否定する。
どう説明したらいいかと悩んでいる様子だった。
ややあってアイリスが言った。
「……鏡見てきたら?」
「はぁ」
要領を得ないまま、私は言われた通り、鏡のもとへいく。
鏡を眺め、自分の顔を見つめた。
「え?」
と驚いた。
なぜなら本当に目が赤くなっていたからだ。
充血ではない。
瞳の色が変わっているのだ。
これって……まさか。
(ストロベリーの色?)
いちごの赤色。
それが目に反映された?
いつもなら、新しいチョコレートを使えるようになっても、反映されるまでにタイムラグがあった。
しかも髪色が変わるだけで、目の色には影響はなかったのに。
(ま、まあ、髪の色が二色から三色になるよりはいいけどさ……)
と、私は思う。
これ以上、髪の色が増えても困るからね。
それにしても瞳の色が変わるのか。
摩訶不思議にも程があるな。
これで私は、黒髪・緑の瞳から、
髪の右半分が茶色、
髪の左半分が薄い黄色、
両目が赤色、
……に、変わったわけだ。
後日。
村の4人に、瞳の色が変わったことを報告すると。
テオくんに、
「やっぱりお前、頭おかしいな!」
と言われた。
頭はおかしくないけど、いろいろおかしいことは認めるよ。
近くの泉で水泳の訓練をすることになった。
水泳は、いざというときに役に立つからだ。
ただ、一般的に、淡水には塩分が少ないので、浮力を得にくい。
ゆえに身体が沈みやすくて、泳ぎにくく、溺れやすいのだ。
だから、それを防ぐために【水泳魔法】を覚えた。
水泳魔法とは、水中での浮力確保をアシストしてくれる魔法である。
これで川だろうが湖だろうが海だろうが、どこでも泳ぐことができる。
まあ、水中に魔物がいるかもしれないので、迂闊には泳いじゃいけないらしいけどね。
さて――――
真夏。
昼。
寝室にて。
その日、私は、カカオマス、ホワイトチョコレートに次ぐ、新しいチョコレートを覚えた。
ストロベリーチョコレートである。
いちごのチョコ。
私にとって三種類目のチョコレートだ。
(これ……いったいどれぐらいの種類があるんだろう?)
そんな疑問を覚える。
チョコレート魔法については、だいぶわかってきたけど……
まだまだ、未解明の部分は多い。
最終的には、私が食べてきた全種類のチョコレートが網羅されるのだろうか?
まあ、いい。
とにかく、ストロベリーチョコレートを覚えたのだ。
なんといってもストロベリーチョコの魅力は、酸味だろう。
異世界に来てから長らく、ビターなカカオマス、あまやかなホワイトチョコばかり食べてきたが……
甘酸っぱさ担当のストロベリーが加わるだけで、チョコレートの世界観は一気に広がりを見せることは間違いない。
たとえば、
カカオチョコレート、
ホワイトチョコレート、
ストロベリーチョコレートを、
順番に、一つずつ、
「もぐもぐ」
と、食べてみると……
「ん~、幸せ!!」
となる。
まあ、当然だね。
「お姉ちゃん」
と、そのとき、寝室にやってきたアイリスが言ってきた。
「目の色、変わってるよ?」
「え?」
「赤くなってる」
とアイリスが指摘してくる。
充血している、と言いたいのだろうと思った私は、以下のように答えた。
「充血してる? まあ、放っておけば治りますよ」
「いや、充血じゃなくて」
とアイリスが否定する。
どう説明したらいいかと悩んでいる様子だった。
ややあってアイリスが言った。
「……鏡見てきたら?」
「はぁ」
要領を得ないまま、私は言われた通り、鏡のもとへいく。
鏡を眺め、自分の顔を見つめた。
「え?」
と驚いた。
なぜなら本当に目が赤くなっていたからだ。
充血ではない。
瞳の色が変わっているのだ。
これって……まさか。
(ストロベリーの色?)
いちごの赤色。
それが目に反映された?
いつもなら、新しいチョコレートを使えるようになっても、反映されるまでにタイムラグがあった。
しかも髪色が変わるだけで、目の色には影響はなかったのに。
(ま、まあ、髪の色が二色から三色になるよりはいいけどさ……)
と、私は思う。
これ以上、髪の色が増えても困るからね。
それにしても瞳の色が変わるのか。
摩訶不思議にも程があるな。
これで私は、黒髪・緑の瞳から、
髪の右半分が茶色、
髪の左半分が薄い黄色、
両目が赤色、
……に、変わったわけだ。
後日。
村の4人に、瞳の色が変わったことを報告すると。
テオくんに、
「やっぱりお前、頭おかしいな!」
と言われた。
頭はおかしくないけど、いろいろおかしいことは認めるよ。
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小説家になろうさんで先行配信していますのでこちらも応援していただくと嬉しいですっ!
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