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第5章166話:錬金術

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冬が過ぎた。

春がやってくる。

私は13歳になる。




ある春の日。

昼。

山小屋のリビング。

三人でテーブルに着く。

クレアベルは、私とアイリスに言った。

「今日はお前たちに錬金術について教えようと思う」

錬金術。

道具製作どうぐせいさくの魔法だ。

「生きていくにあたって必要な道具が、いつもそばにあるとは限らない。だが錬金術があれば、自作することも可能になる」

クレアベルは説明する。

「錬金術は、魔法と同じで、誰でも習得できるものだ。私もできるぐらいだからな」

そう述べてからクレアベルは、リビングのすみのアイテムバッグを持ってくる。

竹と糸を取り出し、テーブルに並べる。

両手をかざし、クレアベルは目を閉じて集中した。

次の瞬間。

竹と糸が発光し……一つの形を成した。

竹竿たけざおである。

「とまあ、この通りだ。錬金術は、素材さえあれば完成品を錬成できる」

すごい! とアイリスがはしゃぐかと思ったが、今回は静かだ。

一緒に生活する中で、クレアベルは何度も錬金術を使っている。

それを普段から目撃しているので、特にアイリスも驚くことはないのだろう。

「じゃあ素材を渡すからやってみろ。同じように竹竿を作るんだ」

クレアベルが、竹と糸を二人ぶん渡してきた。

私たちは手をかざす。

クレアベルは解説する。

「やり方としては、完成品を思い浮かべて、加工や変形をしていくイメージかな」

「やってみます」

と私は告げた。
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