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第4章135話:髪の色2
しおりを挟むその予感は的中した。
3日後。
私の髪の右半分は、依然としてカカオ色のままで。
髪の左半分だけ、ホワイトチョコレートの色に変わっていた。
頭の真ん中、正中線の位置できっぱりと二つの色に分かれている。
「お姉ちゃん、右側だけ髪色、変わったね」
アイリスがいってくる。
アイリスから見れば右、私から見れば左半分の髪が、変色しているのだ。
「なんというか……メチャクチャな髪色だな」
と、クレアベルが苦笑した。
異世界人には、こういう二色状態は珍しく思えるだろう。
私は、鏡を見つめる。
カカオマスが持つ茶色と、ココアバターが持つ黄色は、同じ暖色なので、反発はしない。
似合っているかはわからないが、意外に違和感はなかった。
ただ。
(目立つよねぇ……)
と、私は思った。
週末。
昼。
雪が止んでいた、やわらかな晴れの日。
テオくん、ヘンリックくん、ラミサさん、ユズナさんと会う。
冬でも、ときどきは剣術教室が開かれ、剣の練習をしたりしている。
さて、出会ってすぐに、四人の視線が私の髪へと集中した。
開口一番、テオくんが叫ぶ。
「誰だよ、お前!?」
ひどいな。
私だよ、私!
顔でわかるでしょ。
「髪、染めたの?」
とラミサさんが聞いてきた。
「いいえ、実は――――」
と前置きしてから、私は二色髪になってしまった事情を説明する。
すると、テオくんが笑った。
「チョコレート魔法が髪の色を変えたって? うはは! やっぱりお前、頭おかしいな!」
「おかしいのは頭ではなく髪です! 頭はまともです!」
と、私は訂正を要求した。
ラミサさんが肩をすくめながらいってくる。
「頭はおかしくないと思うけど、魔法はいろいろおかしいと思うわよ」
うん、確かにおかしいね。
チョコレート魔法は、謎多き魔法である。
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