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第3章117話:終幕
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私は告げる。
「ただ……決闘の結果、賠償をいただくことになっていたのですが」
「賠償、ですか」
「はい。実は、ネリアンヌ様に、私が住んでいる山小屋を破壊されたので」
「え?」
と反応したのはクレアベルである。
彼女はぽかんとして尋ねた。
「セ、セレナ? 山小屋を破壊されたとは、どういうことだ?」
「言葉通りの意味ですよ。ネリアンヌ様の部下であるジルさんに、山小屋を潰されたんです。いまぺしゃんこですよ」
クレアベルは口をあんぐりと開けた。
まあ留守にしていたクレアベルには、初耳だよね。
私はソルフェーユ公爵に言った。
「……で、決闘の要求として、ネリアンヌ様に山小屋の修理費用と、慰謝料を求めていたんです。でも、ネリアンヌ様が投獄されるなら、どこに請求したらいいのか」
ネリアンヌが投獄されるなら、修理や慰謝料の件はうやむやになるのではないか?
私の懸念していることを理解してくれたソルフェーユ公爵が、答えた。
「その件に関しては、私にお任せください」
「ソルフェーユ様が?」
「ええ。メルディナ家の財産は没収となりますから、そこから、山小屋の弁償費や慰謝料を確保しておきましょう。後日、あなたがたに支払わせていただきます」
「……! ありがとうございます。それなら、安心しました」
これで山小屋の修理費は確保できる。
私はホッと肩をなでおろした。
かくして、ネリアンヌとの対決は幕を閉じた。
私たちは、穏やかな日常へと、戻っていくのだった。
第3章 完
「ただ……決闘の結果、賠償をいただくことになっていたのですが」
「賠償、ですか」
「はい。実は、ネリアンヌ様に、私が住んでいる山小屋を破壊されたので」
「え?」
と反応したのはクレアベルである。
彼女はぽかんとして尋ねた。
「セ、セレナ? 山小屋を破壊されたとは、どういうことだ?」
「言葉通りの意味ですよ。ネリアンヌ様の部下であるジルさんに、山小屋を潰されたんです。いまぺしゃんこですよ」
クレアベルは口をあんぐりと開けた。
まあ留守にしていたクレアベルには、初耳だよね。
私はソルフェーユ公爵に言った。
「……で、決闘の要求として、ネリアンヌ様に山小屋の修理費用と、慰謝料を求めていたんです。でも、ネリアンヌ様が投獄されるなら、どこに請求したらいいのか」
ネリアンヌが投獄されるなら、修理や慰謝料の件はうやむやになるのではないか?
私の懸念していることを理解してくれたソルフェーユ公爵が、答えた。
「その件に関しては、私にお任せください」
「ソルフェーユ様が?」
「ええ。メルディナ家の財産は没収となりますから、そこから、山小屋の弁償費や慰謝料を確保しておきましょう。後日、あなたがたに支払わせていただきます」
「……! ありがとうございます。それなら、安心しました」
これで山小屋の修理費は確保できる。
私はホッと肩をなでおろした。
かくして、ネリアンヌとの対決は幕を閉じた。
私たちは、穏やかな日常へと、戻っていくのだった。
第3章 完
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