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第3章96話:冒険者ギルドのグラウンド
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<セレナ視点>
翌日。
すっかり雨雲は消え……
天気は晴れ。
昼。
私は【キトレルの街】の冒険者ギルドを訪れていた。
冒険者ギルドの裏口を出たところには、訓練用のグラウンドがある。
ここが決闘会場だ。
300メートル四方のグラウンド。
陸上競技場よりデカい。
で……
まあまあ人がいる。
私とネリアンヌが決闘することは、それなりに広まっていたようだ。
観戦に来たギャラリーが、50人ほど。
その中には見覚えのある姿もあった。
剣術教室のみんなである。
「おうセレナ!」
とテオくんが声をかけてきた。
私は述べる。
「みなさんもいらっしゃったんですね」
「おう! お前が戦うって聞いたから来たんだぜ? 貴族と決闘なんてすごいな!! 応援してやるから頑張れよ!」
とテオくんが言った。
ラミサさんが告げる。
「セレナ、家を壊されたんだって? 最低よね。チョコレート魔法で、ぎゅーんとぶっ飛ばしちゃいなさいよ!」
うん。
そのつもりだ。
さらにヘンリックくんが告げる。
「……負けるなよ」
ヘンリックくんも、私の事情を知ってか、素直に応援してくれた。
最後にユズナさんが声をかけてくる。
「私のいないあいだに、大変なことになっていたみたいですね」
ユズナさんは仕事でモント村を離れていた。
先日、戻って来たらしい。
「はい……まあ、いろいろありまして」
と私は答える。
ユズナさんが私の目をしかと見つめて、告げた。
「人生には正念場と呼ぶべき局面が、何度かあります。あなたにとって今回がソレでしょう。でも、あなたは強い。きっと乗り越えられると、私は信じていますよ」
「……はい」
さて。
みんなへの挨拶を済ませた私は、グラウンドの中央へと歩いていく。
そこにはネリアンヌとジル。
さらに聖職者とおぼしき女性がいた。
彼女は神殿の神官。
今回の立会人であろう。
「ははは、マジで逃げずに来たのか」
とジルが私を見て、笑った。
私が逃げると思っていたらしい。
さらにジルが続ける。
「トンズラこいてりゃ、命が助かる可能性もあったかもしれねえのによ。馬鹿なガキだな、わざわざ殺されに来るとは」
「……殺されに来たわけじゃないんですが」
「いいや、テメエは死ぬ。まず俺に半殺しにされ、そのあとネリアンヌに処刑される。これは確定事項だ。テメエが俺に勝つ可能性なんざ、万に一つも存在しねえんだからよ」
とジルはイキりまくっていた。
勝つ可能性が万に一つもない、か。
こいつには、チョコレート魔法の恐ろしさを、思い知らせてやる必要があるようだ。
翌日。
すっかり雨雲は消え……
天気は晴れ。
昼。
私は【キトレルの街】の冒険者ギルドを訪れていた。
冒険者ギルドの裏口を出たところには、訓練用のグラウンドがある。
ここが決闘会場だ。
300メートル四方のグラウンド。
陸上競技場よりデカい。
で……
まあまあ人がいる。
私とネリアンヌが決闘することは、それなりに広まっていたようだ。
観戦に来たギャラリーが、50人ほど。
その中には見覚えのある姿もあった。
剣術教室のみんなである。
「おうセレナ!」
とテオくんが声をかけてきた。
私は述べる。
「みなさんもいらっしゃったんですね」
「おう! お前が戦うって聞いたから来たんだぜ? 貴族と決闘なんてすごいな!! 応援してやるから頑張れよ!」
とテオくんが言った。
ラミサさんが告げる。
「セレナ、家を壊されたんだって? 最低よね。チョコレート魔法で、ぎゅーんとぶっ飛ばしちゃいなさいよ!」
うん。
そのつもりだ。
さらにヘンリックくんが告げる。
「……負けるなよ」
ヘンリックくんも、私の事情を知ってか、素直に応援してくれた。
最後にユズナさんが声をかけてくる。
「私のいないあいだに、大変なことになっていたみたいですね」
ユズナさんは仕事でモント村を離れていた。
先日、戻って来たらしい。
「はい……まあ、いろいろありまして」
と私は答える。
ユズナさんが私の目をしかと見つめて、告げた。
「人生には正念場と呼ぶべき局面が、何度かあります。あなたにとって今回がソレでしょう。でも、あなたは強い。きっと乗り越えられると、私は信じていますよ」
「……はい」
さて。
みんなへの挨拶を済ませた私は、グラウンドの中央へと歩いていく。
そこにはネリアンヌとジル。
さらに聖職者とおぼしき女性がいた。
彼女は神殿の神官。
今回の立会人であろう。
「ははは、マジで逃げずに来たのか」
とジルが私を見て、笑った。
私が逃げると思っていたらしい。
さらにジルが続ける。
「トンズラこいてりゃ、命が助かる可能性もあったかもしれねえのによ。馬鹿なガキだな、わざわざ殺されに来るとは」
「……殺されに来たわけじゃないんですが」
「いいや、テメエは死ぬ。まず俺に半殺しにされ、そのあとネリアンヌに処刑される。これは確定事項だ。テメエが俺に勝つ可能性なんざ、万に一つも存在しねえんだからよ」
とジルはイキりまくっていた。
勝つ可能性が万に一つもない、か。
こいつには、チョコレート魔法の恐ろしさを、思い知らせてやる必要があるようだ。
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