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第3章93話:決闘成立
しおりを挟むジルは叫ぶように言う。
「せっかく俺が、テメエらの家を訪ねたのに、留守だったからよォ。ムカついて倒壊させちまったんだわ。すまねーな?」
「……っ」
アイリスが涙ぐむ声をもらす。
私は、呆然と立ち尽くす。
ジルは笑った。
「あははははは!! そうだよ、その顔! テメエらみたいなゴミの、そういう顔が見たくて、この板をわざわざ持ってきてやったんだよ!」
ジルが山小屋の板をこちらに投げつけてくる。
私の身体に板はぶつかり、地面に落ちた。
ひとしきり笑ってから、ジルは言った。
「はー、満足した。もういいぜネリアンヌ? 処刑するならどうぞ」
「ええ、なかなか愉快な一幕だったわよ。褒めてあげるわ、ジル」
……ふざけるな。
私は怒りに打ち震えた。
このまま、黙って処刑されてればいいのか?
……いいわけがない。
私は告げた。
「あの、ネリアンヌ様」
「……? 何かしら?」
「あなたに決闘を挑ませていただきます」
「……!」
ネリアンヌが目を見開いた。
ジルも眉をひそめ、聞き返してくる。
「決闘だぁ?」
「はい。できれば、ジルさんでしたっけ? 彼と戦いたいのですが」
その言葉に、ジルが目を見開いた。
直後、歯をむきだしにして笑った。
「かは、はは、ははははははは!! 俺と戦いたいってか!? マジで言ってんのかよテメエ!?」
「はい。決闘において、貴族は代理を立てられるんですよね? だったらジルさんと戦わせてください」
「ひゃははははははっ!! 最高じゃねえかテメエ! ネリアンヌが言った通り、こりゃ良いオモチャだわ!!」
オモチャ?
ネリアンヌが私のことを、そう呼んだのか。
ジルが言う。
「おいネリアンヌ!! 決闘を引き受けろ!! 俺が処刑の前に、こいつをボコボコにしてやるよ!!」
「……ふふ。なるほど、面白そうね」
とネリアンヌが笑った。
「いいわよ。望みどおり、ジルを私の代理として、あなたと決闘させてあげる」
「……ありがとうございます」
と私は答えた。
これで決闘成立だ。
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