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第3章61話:街4

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「本屋はこっちだ。ついてこい」

「うん!」

とアイリスが嬉しそうに言った。

街の本屋ほんやへとやってくる。

古書店こしょてんのようなおもむきのある、クラシカルな店であった。

カウンターの向こうで、老婆ろうばが座っている。

フロアの両側りょうがわ書棚しょだなが並んでおり、本が置かれている。

アイビーのような形をした可愛らしいツルくさが、カウンターや本棚ほんだなからまっていた。

ふと見上げると、天井からはポーションびんのようなものがいくつも吊るされている。

ポーション瓶の中には、光る鉱石が入っており、それらが照明の役割を果たしていた。

(良い雰囲気の店ですね)

と率直に思った。

棚に近づいて、陳列ちんれつされた本を眺めてみる。

どうやら販売している書物の数は多くない。

しかもかなり値段が高いようだ。

まあ、そりゃそうか。

異世界では識字率しきじりつが高くないから、本を書くのは一流の仕事。

読むのも貴族などの富裕層ふゆうそうがメインだから、本は高級品となっているのだ。

「お母さん……大丈夫ですか?」

「財布の心配か? 気にするな。まあ、高いのは無理だが……そうだな。これぐらいの値段のやつなら、なんとかなる」

クレアベルは指をさした。

そこには5万リソルぐらいで買える本が並んでいた。

他の本に比べれば安い。

といっても、5万リソル(5万円)なのだが。

「私、これがいい!」

とアイリスが指さした。

アイリスが示唆しさした本は、銀色の魚と少女が描かれた本だった。

おそらくアイリスは、表紙のイラストに惹かれたのだろう。

まあ素敵なイラストだし、私も否定するつもりはなかった。

「私も、それで構いません」

「そうか? じゃあ、この本にするか」

と、クレアベルが本を手にとり、カウンターへと持っていった。

本を購入する。


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