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第2章43話:剣術教室―他者視点2
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「あのヘンリックも、筋は悪くなかったがな。冒険者でいえばEランクぐらいの実力があるんじゃないか?」
「はい。それぐらいはあるでしょうね」
冒険者ランクは最下位がFランクだ。
Eランクは、下から二番目であるので、決して高くは無い。
しかしヘンリックの年齢が10歳であることを考えると、Eランクはかなりの高ランク。
将来が楽しみになるような強さである。
ユズナは言った。
「ヘンリックくんには悪いですが、今回の彼の敗北は、ありがたいことでした。ヘンリックくんは最近、実力が伸びてきたことで、少し増長してましたから」
「ああ。口振りからして傲慢さがにじみでていたな。ああいうのは放置しておくと、そのうち歪みかねない」
傲慢な性格は、歯止めをかける者が必要だ。
しかしたとえばユズナがヘンリックを叩きのめしても、あまり意味がない。
大人が子どもに勝ったところで当たり前。
衝撃は薄いからだ。
ゆえに、年下のセレナがヘンリックを倒したことは、大きかった。
ヘンリックにとって、うぬぼれを自覚するきっかけとなっただろう。
「しかし、セレナちゃんは本当にすごいですね。実力的にはもう、Dランクぐらいはあるんじゃないでしょうか」
「いや、もっと上だろう。さきほどの戦いですら、全然本気ではなかったからな。あいつが本気になったら、私でも敵わないかもしれない」
「……そんな馬鹿な」
「冗談ではないぞ。セレナは魔法に関してだけは、本当に飛びぬけているからな。規格外の娘だよ」
「……」
クレアベルは、真顔で言っている。
ウソではないのだということに、ユズナは、静かに驚愕した。
「はい。それぐらいはあるでしょうね」
冒険者ランクは最下位がFランクだ。
Eランクは、下から二番目であるので、決して高くは無い。
しかしヘンリックの年齢が10歳であることを考えると、Eランクはかなりの高ランク。
将来が楽しみになるような強さである。
ユズナは言った。
「ヘンリックくんには悪いですが、今回の彼の敗北は、ありがたいことでした。ヘンリックくんは最近、実力が伸びてきたことで、少し増長してましたから」
「ああ。口振りからして傲慢さがにじみでていたな。ああいうのは放置しておくと、そのうち歪みかねない」
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しかしたとえばユズナがヘンリックを叩きのめしても、あまり意味がない。
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衝撃は薄いからだ。
ゆえに、年下のセレナがヘンリックを倒したことは、大きかった。
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「いや、もっと上だろう。さきほどの戦いですら、全然本気ではなかったからな。あいつが本気になったら、私でも敵わないかもしれない」
「……そんな馬鹿な」
「冗談ではないぞ。セレナは魔法に関してだけは、本当に飛びぬけているからな。規格外の娘だよ」
「……」
クレアベルは、真顔で言っている。
ウソではないのだということに、ユズナは、静かに驚愕した。
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