異世界に転生すると、私のチートスキルはチョコレート魔法でした!無双&スローライフしながら異世界を生きる物語

てるゆーぬ(旧名:てるゆ)

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第2章34話:剣術教室―2回戦の開始

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私は困惑する。

「ア、アイリス……?」

するとテオくんが反論した。

「何言ってんだよお前! どう見ても負けだろ! ヘンリックの勝ちだ!」

「負けてないよ! だってお姉ちゃん、本気出してないもん!」

アイリスが強く主張する。

その場にいた多くが首をかしげた。

「本気を出していない、だと?」

と、ヘンリックくんが言いつつ眉をひそめる。

「お姉ちゃん、今回チョコレート魔法を出してないもん! 出してたら絶対負けてないよ!」

そうアイリスは言った。

聞き慣れない単語に、ラミサさんがきょとんとした。

「ちょこれーと魔法?」

「なんだよ、それ?」

と、テオくんも怪訝そうな顔だ。

ヘンリックくんは鼻を鳴らして、言ってきた。

「なるほど。隠し玉があるってことか」

「うん! 本気だったら、お姉ちゃんは負けないもん!」

「ふん。ならばもう一回勝負してやる。そのチョコなんとかという魔法を、出してみろ」

ヘンリックくんがそう告げた。

私は困惑して、言った。

「え、でも……」

「手加減はナシ、というのがユズナさんの指示のはずだ。お前は手加減をせずに、勝負を終える義務があるんだよ。さあ、やるぞ」

ヘンリックくんはやる気満々のようだ。

彼も勝負好きだよね、絶対。

私は、本当に再戦していいのかわからなかったので、ユズナさんのほうに視線を送る。

ユズナさんはうなずいた。

「いいでしょう。では今度こそ、本当の真剣勝負です。セレナちゃんは、必ずチョコレタス魔法を使うこと、いいですね?」

「はい……あ、チョコレタスじゃなくて、チョコレートです」

そう訂正しておいた。

……というわけで。

再戦のため、私とヘンリックくんはふたたび対峙する。

他のみんなも、安全のために距離を取り、ギャラリーと化す。

静寂。

深呼吸を一つ。

「それでは、双方構えて」

ユズナさんの指示で、私たちは木剣を構える。

私とヘンリックくんが互いを見据える。

そして。

「では、はじめ!」

正真正銘しょうしんしょうめい、本気の戦いが、火蓋ひぶたを切った。
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