29 / 97

令嬢

しおりを挟む
本屋を出たあと……

カフェで休んでいくことになった。

軽食とお茶を楽しむ。

休憩したのち、私はもうちょっと街をぶらぶらしたいと思った。

一方、クレアベルとアイリスは、歩きつかれたので、もう少しカフェでゆっくりしていくとのこと。

なので、私一人で街をめぐることになった。

「ふんふんふん~」

と鼻歌をうたいながら、私は街を歩く。

街の露店を眺めたり、街の風景を眺めたりするだけでも、楽しい。

異世界の街で、のどかで綺麗だからね。

歩いているだけで、気分が上向うわむいてくる。

……が。

そのときだった。

「お、お許しください!!」

と悲鳴じみた声が聞こえてきた。

視線を向ける。

大通りからいける横道の路地。

そこに、ちょっとした人だかりができていた。

何事かと私も近づく。

「許すわけがないでしょう? あなたは、この場で処刑するわ」

「しょ、処刑!!?」

なにやら貴族令嬢っぽい女性に。

庶民の男性が土下座して、謝罪している様子。

いったい何があったのか?

私は、遠巻きに見つめるギャラリーの一人に聞いてみた。

「あの、何があったんですか?」

「あん? ああ、あそこで謝罪してる男が、さっき曲がり角で、ネリアンヌ様と肩がぶつかったんだと」

とギャラリーのオッサンが答えてくれる。

私はぽかんとした。

「……は? ぶつかった?」

曲がり角でぶつかった……

それだけ?

と、私は思ってしまう。

私は聞いた。

「そんなことで、騒ぎになってるんですか? いま『処刑する』とか言ってましたよね?」

「……ここだけの話だがよ」

とオッサンは小声で教えてくれる。

「ネリアンヌ様は、気性の荒いお嬢様なのさ。くだらない理由で、庶民を処罰するなんて日常茶飯事だ」

へえ……

いわば悪役令嬢というやつか。

私は、ネリアンヌに目を向ける。

きつい目つきをした女性。

年齢は15歳ぐらいだろうか。

髪は青色でツインテールの髪型、かつ縦ロール。

目は瞳が黄色であった。

服はブラウス、きらびやかなコルセット、スカートである。

なお、ネリアンヌの背後には、護衛とおぼしき屈強な戦士たちが控えている。

(ぶつかっただけで処刑をチラつかせられるのか。怖いな)

あの庶民の男性が、気の毒に思えた。

とそのときだった。

「私にぶつかるような、どうしようもないクズ庶民は、こうしてあげる!!」

とネリアンヌは、男性の顔を蹴りつけた。

「がっ!!?」

顔をおさえてうずくまる男性。

その身体をネリアンヌが踏みつけたり、頭を踏みつけたり。

やりたい放題する。

10発ほど踏んだり、蹴りつけたりしてから、ネリアンヌは言った。

「蹴ってばかりじゃ、処刑にならないわね」

ネリアンヌが微笑む。

「やっぱり刃物を使わないと」

そう述べてから、なんと彼女は、アイテムバッグからショートソードを取り出した。

ギャラリーが息を飲む。

おいおい……

さすがにそれはダメでしょ。

本当に殺す気か?






しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

レベル上限5の解体士 解体しかできない役立たずだったけど5レベルになったら世界が変わりました

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
前世で不慮な事故で死んだ僕、今の名はティル 異世界に転生できたのはいいけど、チートは持っていなかったから大変だった 孤児として孤児院で育った僕は育ての親のシスター、エレステナさんに何かできないかといつも思っていた そう思っていたある日、いつも働いていた冒険者ギルドの解体室で魔物の解体をしていると、まだ死んでいない魔物が混ざっていた その魔物を解体して絶命させると5レベルとなり上限に達したんだ。普通の人は上限が99と言われているのに僕は5おかしな話だ。 5レベルになったら世界が変わりました

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...