27 / 28
ハッピープロジェクト?
しおりを挟む
「すみれちゃーん!」
1週間後、ナーサリーに入って来たすみれを、小雪はギューッと抱き締めて頬ずりする。
「会いたかったー!」
「こゆせんせい!やっとあえた」
すみれも嬉しそうに小雪に笑いかけた。
やがて小雪は立ち上がると、深々と瑠璃に頭を下げる。
「瑠璃さん。何も言わずにいなくなってしまって、本当に申し訳ありませんでした」
ううん、と瑠璃は笑顔で首を振る。
「いいのよ。小雪先生が戻って来てくれて、こんなに嬉しいことはないわ」
「勝手な私をまたここで働かせて下さって、本当にありがとうございます」
「私もすみれも、本当に喜んでるの。今日からまた、蓮も一緒によろしくお願いします」
「はい!」
小雪は、心底嬉しそうに頷いた。
◇
3月下旬に、何度目かの『社員の生活環境整備プロジェクト』リーダーミーティングが開かれた。
小雪は、会議室に入って来た一生にすぐさま近付いて頭を下げる。
一生は、
「またどこかに行かないように、これからは山下くんが見張ってるからね」
と言って、小雪に優しく笑いかけた。
他のメンバーも、温かく小雪を受け入れてくれ、小雪は胸がいっぱいになる。
司会の早瀬がミーティングを始めようとすると、今井が手を上げた。
「その前に、今日は嬉しいニュースがあるんじゃありませんこと?まずは、叶恵ちゃんと早瀬さん」
「あ、はい。私事で恐縮ですが、お陰様で先月末、無事に息子が産まれました」
そう言って早瀬が、パソコンの画面を皆に見せる。
叶恵が手に赤ちゃんを抱いて微笑んでいた。
「皆様~、初めまして。湊と言います」
可愛いー!と皆は画面を覗き込み、手を振る。
「叶恵ちゃん、本当におめでとう!これはみんなからの花束よ。早瀬さんに持って帰ってもらうわね」
そう言って今井は、画面越しに花束を見せた。
「うわー、綺麗なお花!皆様、ありがとうございます」
早瀬も立ち上がって礼を言い、今井から花束を受け取った。
その後も、まだまだ嬉しい報告が続く。
「えー、営業部企画広報課の加藤くんが、5月に当ホテルで挙式されることになりました」
わぁーと皆が拍手をする中、加藤が立ち上がる。
「皆様、ありがとうございます!一般企業に勤める彼女と、近々入籍致します。5月の結婚式の際は、どうぞよろしくお願い致します」
拍手が収まると、早瀬はまたおめでたい報告をする。
「続いて同じく企画広報課の山下くんが、保育士の小雪先生と結婚される予定だそうです」
ええー?!と、今度は一斉に驚きの声が上がる。
山下と小雪は、おずおずと立ち上がった。
「皆様、色々とご迷惑をおかけしました。今後は二人で、より一層仕事に精進致しますので、何卒よろしくお願い致します」
拍手が起こり、今井が興味津々に質問する。
「ねえ、小雪先生が戻って来てくれたのって、山下さんが迎えに行ったってことなの?その辺の話、詳しく聞きたいわー」
「は、いや、まあ、そうですね。あの、私達もこのホテルで結婚式を挙げさせて頂きたいと思っておりますので、皆様どうぞよろしくお願い致します」
答えを濁しつつ山下がそう言うと、青木が口を開く。
「ちょっとちょっとー、俺達も4月にここで挙式するんだぞ?日取り、被せるんじゃないぞ?」
「そうだぞ、山下。俺は5月で押さえてあるんだからな。被ったらあとでジャンケンするぞ」
「ジャンケン?!加藤、お前ジャンケンで決めるのもおかしいだろうが?」
青木と加藤のやり取りに、皆は苦笑いする。
「何はともあれ、嬉しい限りですな」
「本当に。このプロジェクトのメンバーが次々と幸せになるなんて」
福原と田口がそう言うと、今井も身を乗り出す。
「もはやこれは『ハッピープロジェクト』ですわね」
皆が笑顔になる中、あのー…と白石が手を上げた。
「自分、未だに結婚どころか、彼女も出来なくて…。それに、同じ20代独身だった奈々さんと小雪先生が既婚者になるし、同じく独身男性だった青木さんと加藤さんと山下さんまで既婚者になって…。叶恵さんと早瀬さんも子育て世帯になるし、自分だけがポツンと取り残されて…。お願いですから、一人にしないで下さい~」
もはや半泣きの白石を、皆が、まあまあと慰める。
「白石、お前にだってそのうちいい人が現れて、幸せになれるよ」
「本当ですか?総支配人」
一生が頷くと、今井も笑顔で言う。
「そうよ、白石さん。なんたって、このプロジェクトメンバーの幸せ伝播力ったら、もの凄いんだからね」
「確かに!まさにハッピープロジェクトだね」
田口が笑い、白石も納得したように頷いた。
「そうですね。次は自分が幸せになります!」
「いいぞ!その意気だ」
皆も笑顔で拍手した。
そしてハッピー…ではなく、社宅のプロジェクトも本格始動となり、郊外のファミリー向けの戸建てに青木と奈々が、都内の既婚者向けマンションに加藤夫妻が第1弾として入居する事が決まる。
夏頃には今井達も、郊外のコミュニティマンションへの引っ越しを検討しており、プロジェクトはこの先も続ける事になった。
全ては、ホテルの社員の為に。
一生の挑戦はまだまだ続く…
◇
「お帰りなさーい!」
マンションの玄関を開けた瞬間、小雪が飛びついて来て、山下は思わず後ずさった。
隣の部屋からゴミ袋を持って出て来た奥さんと目が合い、あらあら、ご馳走様と笑われる。
「ど、どうも…」
会釈をすると、山下は急いで玄関に入ってドアを閉める。
「小雪…。頼むからせめてドアが閉まってからにしてくれ。ほら、そこから下りて来ないでいいから」
えー?と口を尖らせながら、小雪は上り框に戻って両手を広げる。
「ここでいいんでしょ?ほらほら」
満面の笑みで、広げた両手をパタパタさせる。
山下は仕方なく、ジワジワと近付いた。
ギリギリ手が届く所まで来ると、小雪はつま先立ちで山下に抱きついた。
「稜さん、お帰りなさーい!」
「ただいま、小雪」
抱きしめて頬にキスをする。
「ちゃんと留守番してたよ」
「そうか、偉い偉い」
なんだか俺が保育士みたいだな、と、小雪の頭をなでながら山下はふっと笑った。
「それでね、夕飯の支度をしてたら、家の電話が鳴ったの。稜さんに、出ないでいいからって言われてたのに、私、うっかり出ちゃって」
小雪の手料理を食べながら、山下は、え?と顔を上げる。
「それで?誰からだったの?」
「それがね、私がもしもしって出たとたん、ワシだワシ!って」
「ワシワシ詐欺?最近はオレオレじゃないのか…って、小雪、大丈夫だったのか?」
「うん。だって、お父さんだったんだもん。家の電話番号、これで合ってるのかなって確かめたんだって」
「ええ?お父さん、あれだけオレオレ詐欺のこと気にしてたのに?」
「でしょー?それで私も、詐欺みたいだから、もう家の電話にかけちゃだめよって言って切ろうとしたの。そしたら、子どもは出来たか?って」
「はやっ!ゴホッ」
山下は、思わず味噌汁にむせ返る。
「大丈夫?稜さん」
「ああ、だ、大丈夫」
お茶を飲んで、ふうとひと息つく。
「なんかさ、俺、今まで周りの人から、お前おもしろいな、とか、陽気な奴だなとか言われてきたんだけど、いやー、小雪ファミリーには敵わないな」
「ん?それ、つまりどういう事?」
「そうだなー、つまり…。俺と小雪の子どもは、最強に陽気でおもしろい子になるって事かな?」
「うふふ、それは楽しみだね!」
ニッコリ笑う小雪の笑顔に不意打ちされ、山下は顔を赤くする。
「よし、お父さんの為にも、早く子ども作るぞー!」
山下がそう言うと、小雪も、おおー!と右手を高く挙げる。
二人は、顔を見合わせて微笑んだ。
やがて季節は変わり…
4月に青木と奈々、5月の加藤夫妻に続き、6月に山下と小雪も、ホテル フォルトゥーナ 東京で結婚式を挙げた。
小雪のお腹に小さな命が宿ったのは、そのすぐ後のことだった。
1週間後、ナーサリーに入って来たすみれを、小雪はギューッと抱き締めて頬ずりする。
「会いたかったー!」
「こゆせんせい!やっとあえた」
すみれも嬉しそうに小雪に笑いかけた。
やがて小雪は立ち上がると、深々と瑠璃に頭を下げる。
「瑠璃さん。何も言わずにいなくなってしまって、本当に申し訳ありませんでした」
ううん、と瑠璃は笑顔で首を振る。
「いいのよ。小雪先生が戻って来てくれて、こんなに嬉しいことはないわ」
「勝手な私をまたここで働かせて下さって、本当にありがとうございます」
「私もすみれも、本当に喜んでるの。今日からまた、蓮も一緒によろしくお願いします」
「はい!」
小雪は、心底嬉しそうに頷いた。
◇
3月下旬に、何度目かの『社員の生活環境整備プロジェクト』リーダーミーティングが開かれた。
小雪は、会議室に入って来た一生にすぐさま近付いて頭を下げる。
一生は、
「またどこかに行かないように、これからは山下くんが見張ってるからね」
と言って、小雪に優しく笑いかけた。
他のメンバーも、温かく小雪を受け入れてくれ、小雪は胸がいっぱいになる。
司会の早瀬がミーティングを始めようとすると、今井が手を上げた。
「その前に、今日は嬉しいニュースがあるんじゃありませんこと?まずは、叶恵ちゃんと早瀬さん」
「あ、はい。私事で恐縮ですが、お陰様で先月末、無事に息子が産まれました」
そう言って早瀬が、パソコンの画面を皆に見せる。
叶恵が手に赤ちゃんを抱いて微笑んでいた。
「皆様~、初めまして。湊と言います」
可愛いー!と皆は画面を覗き込み、手を振る。
「叶恵ちゃん、本当におめでとう!これはみんなからの花束よ。早瀬さんに持って帰ってもらうわね」
そう言って今井は、画面越しに花束を見せた。
「うわー、綺麗なお花!皆様、ありがとうございます」
早瀬も立ち上がって礼を言い、今井から花束を受け取った。
その後も、まだまだ嬉しい報告が続く。
「えー、営業部企画広報課の加藤くんが、5月に当ホテルで挙式されることになりました」
わぁーと皆が拍手をする中、加藤が立ち上がる。
「皆様、ありがとうございます!一般企業に勤める彼女と、近々入籍致します。5月の結婚式の際は、どうぞよろしくお願い致します」
拍手が収まると、早瀬はまたおめでたい報告をする。
「続いて同じく企画広報課の山下くんが、保育士の小雪先生と結婚される予定だそうです」
ええー?!と、今度は一斉に驚きの声が上がる。
山下と小雪は、おずおずと立ち上がった。
「皆様、色々とご迷惑をおかけしました。今後は二人で、より一層仕事に精進致しますので、何卒よろしくお願い致します」
拍手が起こり、今井が興味津々に質問する。
「ねえ、小雪先生が戻って来てくれたのって、山下さんが迎えに行ったってことなの?その辺の話、詳しく聞きたいわー」
「は、いや、まあ、そうですね。あの、私達もこのホテルで結婚式を挙げさせて頂きたいと思っておりますので、皆様どうぞよろしくお願い致します」
答えを濁しつつ山下がそう言うと、青木が口を開く。
「ちょっとちょっとー、俺達も4月にここで挙式するんだぞ?日取り、被せるんじゃないぞ?」
「そうだぞ、山下。俺は5月で押さえてあるんだからな。被ったらあとでジャンケンするぞ」
「ジャンケン?!加藤、お前ジャンケンで決めるのもおかしいだろうが?」
青木と加藤のやり取りに、皆は苦笑いする。
「何はともあれ、嬉しい限りですな」
「本当に。このプロジェクトのメンバーが次々と幸せになるなんて」
福原と田口がそう言うと、今井も身を乗り出す。
「もはやこれは『ハッピープロジェクト』ですわね」
皆が笑顔になる中、あのー…と白石が手を上げた。
「自分、未だに結婚どころか、彼女も出来なくて…。それに、同じ20代独身だった奈々さんと小雪先生が既婚者になるし、同じく独身男性だった青木さんと加藤さんと山下さんまで既婚者になって…。叶恵さんと早瀬さんも子育て世帯になるし、自分だけがポツンと取り残されて…。お願いですから、一人にしないで下さい~」
もはや半泣きの白石を、皆が、まあまあと慰める。
「白石、お前にだってそのうちいい人が現れて、幸せになれるよ」
「本当ですか?総支配人」
一生が頷くと、今井も笑顔で言う。
「そうよ、白石さん。なんたって、このプロジェクトメンバーの幸せ伝播力ったら、もの凄いんだからね」
「確かに!まさにハッピープロジェクトだね」
田口が笑い、白石も納得したように頷いた。
「そうですね。次は自分が幸せになります!」
「いいぞ!その意気だ」
皆も笑顔で拍手した。
そしてハッピー…ではなく、社宅のプロジェクトも本格始動となり、郊外のファミリー向けの戸建てに青木と奈々が、都内の既婚者向けマンションに加藤夫妻が第1弾として入居する事が決まる。
夏頃には今井達も、郊外のコミュニティマンションへの引っ越しを検討しており、プロジェクトはこの先も続ける事になった。
全ては、ホテルの社員の為に。
一生の挑戦はまだまだ続く…
◇
「お帰りなさーい!」
マンションの玄関を開けた瞬間、小雪が飛びついて来て、山下は思わず後ずさった。
隣の部屋からゴミ袋を持って出て来た奥さんと目が合い、あらあら、ご馳走様と笑われる。
「ど、どうも…」
会釈をすると、山下は急いで玄関に入ってドアを閉める。
「小雪…。頼むからせめてドアが閉まってからにしてくれ。ほら、そこから下りて来ないでいいから」
えー?と口を尖らせながら、小雪は上り框に戻って両手を広げる。
「ここでいいんでしょ?ほらほら」
満面の笑みで、広げた両手をパタパタさせる。
山下は仕方なく、ジワジワと近付いた。
ギリギリ手が届く所まで来ると、小雪はつま先立ちで山下に抱きついた。
「稜さん、お帰りなさーい!」
「ただいま、小雪」
抱きしめて頬にキスをする。
「ちゃんと留守番してたよ」
「そうか、偉い偉い」
なんだか俺が保育士みたいだな、と、小雪の頭をなでながら山下はふっと笑った。
「それでね、夕飯の支度をしてたら、家の電話が鳴ったの。稜さんに、出ないでいいからって言われてたのに、私、うっかり出ちゃって」
小雪の手料理を食べながら、山下は、え?と顔を上げる。
「それで?誰からだったの?」
「それがね、私がもしもしって出たとたん、ワシだワシ!って」
「ワシワシ詐欺?最近はオレオレじゃないのか…って、小雪、大丈夫だったのか?」
「うん。だって、お父さんだったんだもん。家の電話番号、これで合ってるのかなって確かめたんだって」
「ええ?お父さん、あれだけオレオレ詐欺のこと気にしてたのに?」
「でしょー?それで私も、詐欺みたいだから、もう家の電話にかけちゃだめよって言って切ろうとしたの。そしたら、子どもは出来たか?って」
「はやっ!ゴホッ」
山下は、思わず味噌汁にむせ返る。
「大丈夫?稜さん」
「ああ、だ、大丈夫」
お茶を飲んで、ふうとひと息つく。
「なんかさ、俺、今まで周りの人から、お前おもしろいな、とか、陽気な奴だなとか言われてきたんだけど、いやー、小雪ファミリーには敵わないな」
「ん?それ、つまりどういう事?」
「そうだなー、つまり…。俺と小雪の子どもは、最強に陽気でおもしろい子になるって事かな?」
「うふふ、それは楽しみだね!」
ニッコリ笑う小雪の笑顔に不意打ちされ、山下は顔を赤くする。
「よし、お父さんの為にも、早く子ども作るぞー!」
山下がそう言うと、小雪も、おおー!と右手を高く挙げる。
二人は、顔を見合わせて微笑んだ。
やがて季節は変わり…
4月に青木と奈々、5月の加藤夫妻に続き、6月に山下と小雪も、ホテル フォルトゥーナ 東京で結婚式を挙げた。
小雪のお腹に小さな命が宿ったのは、そのすぐ後のことだった。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
【完結】聖女の手を取り婚約者が消えて二年。私は別の人の妻になっていた。
文月ゆうり
恋愛
レティシアナは姫だ。
父王に一番愛される姫。
ゆえに妬まれることが多く、それを憂いた父王により早くに婚約を結ぶことになった。
優しく、頼れる婚約者はレティシアナの英雄だ。
しかし、彼は居なくなった。
聖女と呼ばれる少女と一緒に、行方を眩ませたのだ。
そして、二年後。
レティシアナは、大国の王の妻となっていた。
※主人公は、戦えるような存在ではありません。戦えて、強い主人公が好きな方には合わない可能性があります。
小説家になろうにも投稿しています。
エールありがとうございます!
旦那様の様子がおかしいのでそろそろ離婚を切り出されるみたいです。
バナナマヨネーズ
恋愛
とある王国の北部を治める公爵夫婦は、すべての領民に愛されていた。
しかし、公爵夫人である、ギネヴィアは、旦那様であるアルトラーディの様子がおかしいことに気が付く。
最近、旦那様の様子がおかしい気がする……。
わたしの顔を見て、何か言いたそうにするけれど、結局何も言わない旦那様。
旦那様と結婚して十年の月日が経過したわ。
当時、十歳になったばかりの幼い旦那様と、見た目十歳くらいのわたし。
とある事情で荒れ果てた北部を治めることとなった旦那様を支える為、結婚と同時に北部へ住処を移した。
それから十年。
なるほど、とうとうその時が来たのね。
大丈夫よ。旦那様。ちゃんと離婚してあげますから、安心してください。
一人の女性を心から愛する旦那様(超絶妻ラブ)と幼い旦那様を立派な紳士へと育て上げた一人の女性(合法ロリ)の二人が紡ぐ、勘違いから始まり、運命的な恋に気が付き、真実の愛に至るまでの物語。
全36話
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
裏切りの代償
志波 連
恋愛
伯爵令嬢であるキャンディは婚約者ニックの浮気を知り、婚約解消を願い出るが1年間の再教育を施すというニックの父親の言葉に願いを取り下げ、家出を決行した。
家庭教師という職を得て充実した日々を送るキャンディの前に父親が現れた。
連れ帰られ無理やりニックと結婚させられたキャンディだったが、子供もできてこれも人生だと思い直し、ニックの妻として人生を全うしようとする。
しかしある日ニックが浮気をしていることをしり、我慢の限界を迎えたキャンディは、友人の手を借りながら人生を切り開いていくのだった。
他サイトでも掲載しています。
R15を保険で追加しました。
表紙は写真AC様よりダウンロードしました。
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
【完結】そんなに側妃を愛しているなら邪魔者のわたしは消えることにします。
たろ
恋愛
わたしの愛する人の隣には、わたしではない人がいる。………彼の横で彼を見て微笑んでいた。
わたしはそれを遠くからそっと見て、視線を逸らした。
ううん、もう見るのも嫌だった。
結婚して1年を過ぎた。
政略結婚でも、結婚してしまえばお互い寄り添い大事にして暮らしていけるだろうと思っていた。
なのに彼は婚約してからも結婚してからもわたしを見ない。
見ようとしない。
わたしたち夫婦には子どもが出来なかった。
義両親からの期待というプレッシャーにわたしは心が折れそうになった。
わたしは彼の姿を見るのも嫌で彼との時間を拒否するようになってしまった。
そして彼は側室を迎えた。
拗れた殿下が妻のオリエを愛する話です。
ただそれがオリエに伝わることは……
とても設定はゆるいお話です。
短編から長編へ変更しました。
すみません
裏切りの先にあるもの
マツユキ
恋愛
侯爵令嬢のセシルには幼い頃に王家が決めた婚約者がいた。
結婚式の日取りも決まり数か月後の挙式を楽しみにしていたセシル。ある日姉の部屋を訪ねると婚約者であるはずの人が姉と口づけをかわしている所に遭遇する。傷つくセシルだったが新たな出会いがセシルを幸せへと導いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる